出版社内容情報
中近東、ギリシア・ローマ、日本の「浦島太郎」「竹取物語」「虚空蔵菩薩」……。聖母マリアの星“明星”への祈りの軌跡を追う。
キリスト教では「金星」がイエスの星とされる。また「明けの明星」がイエスの母マリアの星とされた痕跡も見られる。そうした“明星崇拝”は中近東からギリシア・ローマまで広域に、時代・文化をこえて存在している。そして遠く日本にも、あるときは「浦島太郎」「竹取物語」といった説話のなかに、あるときは仏教における「虚空蔵菩薩」として“明星信仰”が開花している。こうした時空を超えた人々の祈りを追う、聖書学者渾身の書。
ま え が き
第一章 砂の地に降りたつ星
天の女王 イナンナ
きらめく方 イシュタル
ウガリットの金星神
イスラエルの「天の女王」
愛の神アフロディテの星
恵み深く尊いウェヌスの星
イエスと母マリア
第二章 海のなかに輝く星 ―― 浦島伝説と神女
浦島伝説の誕生
主人公シマコの実像
海のなかの五色の亀
玉手箱の謎
太陽の神秘的な力
一族の崇めた神
三天体を仰ぎみた宇宙像
海の神は何処に
海神の乙女の昇天
第三章 月神信仰と『竹取物語』
第一講 太陽・月・明星崇拝線
「記紀」以前の神々
樺井の神を祀った人びと
第二講 日の神 月の神 星の神
万葉のこころ
樺井神から月読神へ
第三講 竹取物語
月の女神
月神への想い
第四章 『今昔物語集』と虚空蔵菩薩信仰
説話 その一 「比叡山の僧」
女身となる菩薩
比叡山から法輪寺へ
行者を護り導く明星
虚空蔵菩薩と法華経
説話 その二 「道慈と神叡」
吉野の虚空蔵菩薩
ふたつの伝承
現光寺と比叡山
第五章 聖母マリアと虚空蔵菩薩
第一講 マギたちを導いた星
マギたちの来訪
マギたちが見た星
第二講 マギたちと「神の母」
大聖堂のモザイク画
ローマ帝国と太陽神崇拝
第三講 「神の母」と虚空蔵菩薩
法華経とのつながり
経典漢訳者たちの出身地
あとがき
内容説明
メソポタミア文明、ギリシア・ローマ神話に現れる八芒星。イエス誕生にマギたちを導いた「太陽が昇るまえに現れる」星。“明けの明星”を追って日本古来の伝説へと星辰探究の旅は続く。聖なる天体“金星”を人はどのような想いで仰ぎみてきたか。
目次
第1章 砂の地に降りたつ星(天の女王イナンナ;きらめく方イシュタル ほか)
第2章 海のなかに輝く星―浦島伝説と神女(浦島伝説の誕生;主人公シマコの実像 ほか)
第3章 月神信仰と『竹取物語』(太陽・月・明星崇拝線;日の神 月の神 星の神 ほか)
第4章 『今昔物語集』と虚空蔵菩薩信仰(「比叡山の僧」;「道慈と神叡」)
第5章 聖母マリアと虚空蔵菩薩(マギたちを導いた星;マギたちと「神の母」 ほか)
著者等紹介
増田早苗[マスダサナエ]
1936年、京都市に生まれる。戦時中、丹後半島に学童集団疎開する。1960年、聖心女子大学文学部外国語外国文化学科(英文科)修士課程修了。1964年、聖心女子大学小林(現在・宝塚市)分校、講師。1965年、カトリック女子修道会聖心会に入会。1970年、サンフランシスコ大学神学部(聖書学専攻)修士課程修了。同年4月、聖心女子大学、専任講師となる。1972年より共同訳新約聖書翻訳に参加(1978年、出版)。1981年より一年間、シカゴのロヨラ大学にて霊性神学・心理学を修める。1987年、聖心女子大学を助教授にて退職。現在、カトリック女子修道聖心会会員。聖心女子大学キリスト教文化研究所所員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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