出版社内容情報
《ユング生誕150年。ユング派分析家の国際的リーダーが開く、ユング心理学への新しい扉》
本書で著者のスタインが立てた問いは「ユングのアプローチは他のアプローチと何が違うのか」「その他のさまざまな心理療法と一線を画す本質的な特徴は何なのか」というものであり、長年にわたる探究と同僚たちとの深い対話を通して、最終的に彼はユング心理学のエッセンスを次の「四本の柱」に絞って抽出しました。
第一の柱は「個性化」という考え方です。これは、人生を通じて私たちがどのように自己を見つけ、成長し、真に「自分らしく」なっていくのかを示す指針です。ユング心理学では、この過程こそが心理的発達の本質とされています。
第二の柱は「転移」と「逆転移」による治療的関係の捉え方です。セラピストとクライエントの関係は、単なる対話によるものだけではありません。そこには無意識レベルで交わされる深い感情と力動が存在し、ユング派の分析家はそれを繊細に読み取ります。
第三の柱は「夢」に対するアプローチです。夢は、私たちの無意識からのメッセージであり、ユングはそれを心の奥深くとつながる道として重視しました。ここでは、夢をどう理解し、どう扱うかが丁寧に語られています。
第四の柱は「アクティブ・イマジネーション」と呼ばれるユング派特有の技法です。これは、意識的にイメージと向き合い、無意識と対話することで深い内的変容を促すものです。
これら四本の柱が組み合わさることで、ユング心理学は他の心理療法とは一線を画す独自の深みと力を持ちます。そして、ユング派の分析家たちは、こうしたアプローチを適切に使い分けながら、日々クライエントと向き合っているのです。