出版社内容情報
本書は、内観療法における諸主題から、最も重要とされる「母」に関わる過程に注目して、「内観療法で『母』を想起することにはどのような治療的意味があるのか」を明らかにすることを目的とする。
「内観療法において、母を想起することの何が、クライエント(内観者)に治療的に働くのか」について、著者の内観療法の臨床事例で見られた過程を提示して、文献研究や調査参加者を対象とした調査研究の質的データで記述された現象から検証した上で、カウンセリング形式の内観療法の臨床事例を考察する。
目次
序章 本書の特徴と構成
第1章 問題と目的―内観療法の何をどのように研究するのか
第2章 事例研究(1) 摂食障害の20代後半女盾Aの集中内観の事例1―内観療法の臨床事例では「母」がどのように体験されるのか
第3章 文献研究 『観無量寿経』による内観療法の「母」の理論的考察―仏教的背景から内観療法の「母」がどのように捉えられるのか
第4章 調査研究(1) 大学生による内観3項目の主観的体験の考察―内観3項目による「母」を主観的体験から検討する
第5章 調査研究(2) 内観3項目で「母」がどのように体験されるのか1―「してもらったこと」と「してもらいたかったこと」のバランスシート
第6章 調査研究(3) 内観3項目で「母」がどのように体験されるのか2―「してもらったこと」と「して返したこと」が伴奏する
第7章 調査研究(4) 内観3項目で「母」がどのように体験されるのか3―罪悪感が質的に転換して素直な気持ちになる
第8章 事例研究(2) 20代後半男性Bの日常内観をフォローアップしたカウンセリング形式の事例2―集中内観ではない内観療法で「母」がどのように体験されるのか
第9章 比較研究 内観者と面接者の関係性による「場」の観点からの考察―内観療法の事例1と事例2の比較検討を通して
第10章 総合考察
付章 内観療法の事例における罪悪感と無常観の一考察―『モモ』の「灰色の男たち」と「時間の花」の観点から
著者等紹介
橋本俊之[ハシモトトシユキ]
1977年、大阪市生まれ。2000年、立命館大学文学部史学科卒業。2022年、京都文教大学大学院臨床心理学研究科博士後期課程修了。社会福祉事務所の勤務を経て、2010年、ふうや内観研修所を開設し、現在に至る。ふうや内観研修所所長、面接者。京都文教大学非常勤講師。聖母女学院スクールカウンセラー。博士(臨床心理学)。臨床心理士。公認心理師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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