出版社内容情報
象徴機能は、ことばによるシンボル、行動によるシンボル、無意識をあらわすシンボルなど、広域である。本書では、出来事に対する感覚や感情を体験として意識化して自分を表現・調整し、人の中で生きてゆくために必要な機能として捉え、医療や福祉施設での事例を中心に、象徴機能が不全、あるいは未獲得な状態にあるクライエントの象徴機能の回復過程を検討、イメージの心理療法における新たな臨床的アプローチの可能性を探究する。
目次
第1部 象徴機能からみる解離の研究(解離研究の変遷;心的外傷を抱える被虐待児の象徴機能)
第2部 心理療法へのアプローチ(はなしことばにおける象徴以前/以降;箱庭療法における象徴機能の多様な側面へのアプローチ)
第3部 心理療法の実際―その象徴機能の回復をめぐって(はなしことばの獲得と自他の分化―虐待と発達の問題を抱えた幼児Aとの遊戯療法を介して;他者との出会いと幻想からの三度の分離―愛着の問題を抱えた学童期の男子クライエントBとの遊戯療法;象徴以前のイメージから夢の体験とスタックの解消―身体的な虐待を抱えた思春期の男子クライエントCとの面接 ほか)
著者等紹介
片山知子[カタヤマトモコ]
京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻博士後期課程研究指導認定退学。博士(教育学)。臨床心理士、公認心理師。精神病院や児童養護施設の勤務を経て、現在、クリニック勤務、京都女子大学大学院発達教育学研究科・京都先端大学大学院人間文化研究科・大阪大学大学院人間科学研究科の非常勤講師。専門は心理療法(心理面接、遊戯療法)、精神科における面接や心理テスト(WAISやロールシャッハテストなど)。対象は、被虐待体験や精神的な疾患をかかえるクライエントのテストおよび心理療法。2013年日本箱庭療法学会・河合隼雄賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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