出版社内容情報
C・G・ユングが遺した業績は質量ともに膨大であるが、なかでも『赤の書』は、そのような彼の業績の中心を占めるものであり、彼の思想的な起源を正しく理解するためには必読の書であると見なされながら、長く公刊されることがなかった。それが、彼の死後約半世紀をへた2009年に世界で同時刊行され、日本でも原書発行の翌年には翻訳版が出版された。
オリジナル版はユングが描いていた皮表紙のノートと同じ大きさ(A3判)の美しく精緻な複写版であったが、その大きさや重量のために持ち運ぶにも読むにも大変であった。そのため、多くの研究者たちの要望に応えるかたちで、オリジナル版が出てから5年後に、手頃な大きさと価格で、『赤の書[テキスト版]』が刊行された。原版のテキスト、序論、注釈はそのままに、より読書に適した携帯可能なサイズにまとめたものであったが、如何せん図版は、オリジナル版を見るしかなかった。
本書『赤の書[図版版]』は、テキスト版と同じ大きさ・仕様で、図版のみを納めたものである。テキスト版と2冊セットにすると、大判のオリジナル版の内容全体を把握することができる。もちろん、テキスト版なしで、図版版だけを楽しむことも可能である。
オリジナル版を求めることができなかった読者や、テキスト版と合わせて携帯に便利な図版版を求めたい読者にぜひお薦めしたい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
9
図版版は中世イコンのような色彩溢れた図像から成る。文字の解説はなく、文字も意味を離れたデザインとして図との境界を曖昧にする。夢を文字で記述しながら図を描く理由を、著者は後にマンダラを見て理解したという。これら色鮮やかな図像に多く見られる大小様々な円は、そこに描かれるキャラクターが連想させるエピソードを超えて、カオスに飲み込まれないためのマンダラ的な観想を促す役割を果たしたようだ。大脳皮質から脳の中心へ、文字のエピソード記憶から色彩の感覚記憶へと退行して内面のカオスに接近する過程は、図で表現されたのだろう。2021/06/03
れい
7
Ich kann nicht lesen Deutsch.2018/02/03
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