出版社内容情報
【解説】
コラージュとは「貼りつけること」を意味し,芸術創造上の技法のこと。本書はコラージュ法を心理療法の一つの技法として,事例をまとめあげた初の入門書である。
内容説明
本書は、コラージュ法を心理療法の一つの技法としてまとめあげた、初の入門書である。
目次
第1部 コラージュ技法とは(コラージュ技法の導入方法;コラージュの成立とその展開)
第2部 事例研究(登校拒否高校生の事例;登校拒否児とその母親のケース;強迫神経症の学生に試行したコラージュ療法;心身症治療におけるコラージュ療法の試み―入院患児の治療体験への応用と小児科医の役割)
第3部 理論的研究(コラージュ療法の発展的利用―MSSM+C療法の紹介;コラージュ私見;砂遊び・箱庭・コラージュ―箱庭療法とコラージュ療法に関する雑感;コラージュ療法と他の諸技法との関連;引用と言葉―コラージュに関するスケッチ;コラージュ・イメージについて)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りり
9
シュルレアリスムからのコラージュへの興味から、たどり着きました。何もかも新鮮。芸術療法の入門書といってもよいでしょう。箱庭療法とコラージュ療法の違いは面白かったです。単純に三次元と二次元の違いだけではなく、箱庭療法に必ずある砂や箱(世界を区切るということ)とコラージュのためにハサミで気に入った絵なり写真なりを切り取って貼るということとの差異の対する説明などなど。それからコラージュは夢(夜寝る時にみる夢のことです)に近いらしい。これにはちょっと驚いた。2015/03/10
Kamogawawalker
2
日本におけるコラージュ療法の導入やその初期の展開について、また、いくつかのケースの興味深い紹介、理論的考察がコンパクトにまとまって、わかりやすく読めました。特に、森岡正芳さんの「引用と言葉」という文章は、それ自身にいくつもの引用を散りばめたすばらしいもので、コラージュ療法に限らず、言葉のはたらきについて考えさせられました。「われわれの発話はすべて他者の言葉に満ちている。」(バフチン)その中で、「私」を再構成していく、という一節が印象的でした。2013/11/16