内容説明
30年にわたって自然災害と防災を取材してきた著者が、東日本大震災をテレビやラジオがどのように伝えたかとともに、災害報道の役割や今後のあり方を展望。被災地で取材した様々なテーマの中から、今後の防災対策に欠くことのできない課題を整理し、東日本大震災後の視点から、首都圏や西日本などで心配される巨大地震にどう立ち向かえばいいかを考えた。
目次
第1章 東日本大震災を伝える(初めての経験;NHKと民放の緊急報道;わかってきた地震の様相 ほか)
第2章 東日本大震災を取材する(被災地の破滅的な被害;消防団の大きな被害;被災者の暮らし ほか)
第3章 東日本大震災を考える(被害想定の見直し;減災社会を目指す;避難の文化を育てる)
著者等紹介
山崎登[ヤマザキノボル]
昭和29年、長野県大町生まれ、昭和51年にNHK入局後、盛岡局、佐賀局、長野局で勤務。昭和63年、報道局社会部の災害班に所属。平成3年から「特報首都圏」キャスター。平成10年、報道局社会部で災害班デスク。平成12年、NHK解説委員(自然災害・防災担当)。平成21年、NHK解説副委員長。これまでにイラン地震、阪神・淡路大震災、台湾地震、有珠山噴火、三宅島噴火、東海豪雨災害、新潟県中越地震、ニューオリンズのハリケーン災害、東日本大震災などを取材(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
12
書名を貧困問題に準えれば、貧困防止をいきなり言うのではなく、貧困軽減(poverty alleviation)という流儀にも似ていると思えた。それは、基地問題にも敷衍できる。昨今の沖縄は、軍縮ではない。移設なんてのは総量規制ではないので災いは飛び火したようなものだ。≪避難の文化の重要性≫(54頁~)。逃げるのにも訓練というか、技というか、ユビキタスな発想が必要。いつでも、どこにいても、誰でも、自力で逃げる力があるだろうか? とりわけ、移動の不自由な方々が逃げ切れる手だてを準備するのは公的機関の責務と思う。2014/01/01
aochama
1
NHK記者歴30年の著者が、防災への思いの集大成として東日本大震災の取材を通じて被災対策を振り返り、将来に向けての提言を整理した渾身の内容でした。特に最終章の「避難の文化を育てる」は、今後の災害対策を検討する際の布石になると思いました。災害時に自立した避難の判断ができるように、災害対策の教育は義務教育の必須項目として全学年で取り入れてもよい内容ですね。2020/12/30