内容説明
チベット人の真意を映す映画を撮り、中国で囚われの身になったドゥンドゥップ・ワンチェン。道端のパン売りから始め、ついにはアメリカに渡って、家族を養い、夫の釈放を待ち続けた妻ラモ・ツォ。彼らの物語から見えてくる、家族とは?難民とは?文化とは?正義とは?自由とは?そして―生きるとは?
目次
第1章 路上でパンを売る人
第2章 物質的なものは東、精神が宿るのは西
第3章 新天地・アメリカへ
第4章 再会
第5章 ドゥンドゥップの秘密
著者等紹介
小川真利枝[オガワマリエ]
ドキュメンタリー作家。1983年フィリピン生まれ。千葉県で育つ。早稲田大学教育学部卒業。2007年テレビ番組制作会社に入社、2009年に退社し、フリーのディレクターに。ラジオドキュメンタリー『原爆の惨禍を生き抜いて』(2017)(文化庁芸術祭出品、放送文化基金賞奨励賞)、ドキュメンタリー映画を制作。『パンと牢獄―チベット政治犯ドゥンドゥップと妻の亡命ノート』が初めての著作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
25
○亡命チベット人の現状や中国の政治犯がどのようなものであるのかの一例が提示されています。チベットは民族、文化、国土、主権、一部の外国からの承認がありながら、軍事的制圧を受け今に至っています。当然のように平和を甘受できる環境にいることを感謝しつつ、恐怖も感じます。2023/11/22
ののまる
15
チベット難民問題。世界中にチベタンコミュニティーがあるとしても、若い世代のホスト国との同化は避けられない。ダライラマ14世はもう高齢であるから、あと数年でどうなってしまうのか…2020/11/16
uniemo
13
チベットの政治犯の夫と妻の亡命に関する記録。チベットの歴史等今まで何も知らなかったので二人がチベット語の読み書きさえ不自由な育ちなのに自分の信念を訴えていく姿に本作を一気読みしてしまいました。英語も勿論不自由なのにアメリカに渡り家族を養っていく妻ラモ・ツオさんの強さと賢さが心に残りました。2020/09/02
たいこ
11
店頭でカバーデザインとタイトルに惹かれて気になっていたら、ちょうど読み友さんのレビューがあがったのでこれもご縁だなと思い購入。チベット人の状況について“フリーチベット”という言葉くらいしか知識がなかったので、なかなか衝撃的な内容でした。夫が中国政府に投獄され、自身も言葉に尽くせないほどの苦労をしているのに、中国を感情的に批判することはせず『わたしは活動家ではなく、生活者だ』というラモ・ツォさんの肝が座っている感じ、自分で見聞きして感じたことだけを信じているところにグッときました。映画も見てみたいです。2020/07/23
くれの
9
表紙に映る彼女の姿が多くを物語っていました。手に握られた数珠も彼が現れるであろう国境を見射る視線もそのパンも。チベット難民は彼方にいるわけではなく今もここで直向きに生きていることを改めて教えてくれます。2020/10/12