内容説明
近年の企業と社会の混迷には根深いものがある。それは一時的な倫理の混乱として説明されうるようなものではない。その原因の一つは、現代に連なる大企業の生成以来の指導原理の変容にある。ここに指導原理の問題とは、営利と倫理の問題だといってよい。そして、この問題を解明する鍵は、マックス・ヴェーバーの主要業績のうちに与えられている。この業績は、近代企業の指導原理の成立と変容を明らかにし、このことによって現代に至る企業の営利と倫理のそしてこれによる社会の歴史を、われわれに理解させるからである。このような考えから、本書は、ヴェーバーの所論を研究しようとする。
目次
第1部 問題(宗派と社会階層分化;資本主義の「精神」;ルターの天職観―研究の課題)
第2部 禁欲的プロテスタンティズムの天職倫理(現世内禁欲の宗教的諸基礎;禁欲と資本主義の精神)