出版社内容情報
あらゆる生活芸術に傑出した才能を見せたウィリアム・モリス。モリスファンおよび英国好きには必読の一冊。
内容説明
石榴、薔薇、チューリップなどの植物をモチーフにあしらった、壁紙やカーテンなどで一世を風靡し、今も人気のウィリアム・モリス。生活の細部まで薫り高い芸術で満たすことを夢見たモリスの生涯。今も息遣いが聞こえる、家族と過ごした思い出深い家々。デザインの理想を色濃く残した建物。花と自然を愛した芸術家を追った英国紀行。
目次
第１章 幼年期からオックスフォード時代へ
第２章 ラファエル前派との出会い
第３章 美しきレッド・ハウス
第４章 蜂蜜色のコッツウォルズ
第５章 美の小国ケルムスコット・マナー
第６章 ケルムスコット・ハウス
第７章 ウィリアム・モリス・コレクション
著者等紹介
南川三治郎［ミナミカワサンジロウ］
写真家。１９４５年三重県生まれ。東京写真大学卒業後、大宅壮一東京マスコミ塾・第一期出塾。パリを拠点にヨーロッパの“人と文化”に焦点を当て取材活動をするフォトグラフィック・ライター
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とんかつラバー
13
イギリスっぽさと言うと何か。ビートルズも中世の騎士の世界もそうだが、私はウィリアム・モリスだと思う。モリスの作品についてだけでなく生涯についても触れられているのだが、天下一悪妻選手権やったらモリスの嫁、かなりの上位に食い込むと思うのよ。古代〜現代の総合でも。2021/11/26
miki
13
モリス入門書。図版が多く、しかもカラーで紹介されていて、モリスの技術や作品の精度がよくわかる一冊。モリス自身についても凝縮してあるにも関わらず、わかりやすい記述でした。高いデザイン性に今日も多くの人が刺激を受けるのは、モリス個人の仕事に対する熱意にもその理由があるのかもと思いました。2013/12/26
ykshzk（虎猫図案房）
12
最期に立ち会った医師の言葉「死因は『ウィリアム・モリス』」。これが全てを物語る。理想を形にするべく働きすぎた。アイデアを形にしたいという気持ちを端から実行に移し続けられたのは努力の賜物。形にする事が何より幸せで、実は奥様の不倫など優先度の低い問題だったのではないか。形にしたい欲求はデザインに関わる人なら誰でも持つものと思っていたが、若い人と話すとそうでもないらしく驚かされる。「Google検索すると既に良いのがあるから、自分がやる意味があまりないと思う」のだそうだ。モリスを見習い、とにかく手を動かそう。 2018/07/22
makoto018
11
Podcastそんない美人の時間で聴き、ウィリアム・モリスの生涯に興味を持った。独創的なデザインの発明もさることながら、アーツ&クラフツ運動を主唱したことが興味深い。産業革命による大量生産の中、デザインや手仕事の大切さを訴えたとのこと。日本の民藝運動の柳宗悦にも影響を与えたよう。アーティストとして優れたモリス。しかし、仲間と築いた「夢の砦」共同経営の商会は解消し、妻との関係にも悩むなど、人生が決してひなただけではなかった。だからこそデザインが、自然に材を取り明るさに満ちたものであったのかもしれないと思う。2022/05/02
春ドーナツ
11
レッド・ハウスで暮らしたい！さて。先日ラスキン殿とセットでモリス氏の「ユートピアだより」を読んだ。巻頭解説によると氏は多才である。その「いろいろ」を紹介しているのが本書。私室の四面の壁は煙草のせいでハチミツ色に爛（ただ）れている。コッツウォルズ地方のライムストーン建築のようだ（んな訳ない）。壁紙を変えたい。氏がデザインした「アイブライト」や「苺泥棒」なぞが素敵だと思う。どうせならブラインドをカーテン（柳柄）に変えて、ベッドにも天蓋（詩が刺し込んである）を付けて全てをモリス装飾にしたいと夢見る。儚い。吐息。2017/12/04
