出版社内容情報
"「どんな短い行文にも自分の知り得たこと、発見したことを書き、それが真実を射抜いたものであれば、その文章は生きてくるはず」と信じ、今日まで八十余年、ひたすら歩んできた著者の名文集。奇縁、宿縁、機縁、因縁、合い縁...「縁」という巧みまざる出会いの""妙”にふれた諸篇は、決して声高ではないが、「実」を伴う深みと優しさに満ちている。"
内容説明
奇縁、宿縁、機縁、因縁、合い縁…。「縁」という巧まざる出会いの“妙”が、いまも私を支える慈みの雨に違いない。「心眼・心耳」で紡ぐ余情豊かな名文44篇。
目次
幸福
家庭について
電灯のささない家
日記―或る執着
音楽の愉しみ
犬の愛情
七生報国―何のために小説を書くか
瓦礫のことば
言葉のなかの旅
痛みの記憶〔ほか〕
著者等紹介
安岡章太郎[ヤスオカショウタロウ]
小説家。1920年(大正9年)高知市生まれ。父が軍医だった関係で、千葉・市川、朝鮮・京城、弘前など各地を転々とする。慶大英文科卒。在学中に応召。胸部疾患で還送後、脊椎カリエスを病む。’53年(昭和28年)、『陰気な愉しみ』『悪い仲間』の2作で芥川賞受賞。吉行、遠藤、庄野、小島らとともに「第三の新人」と呼ばれ、『遁走』『海辺の光景』『花祭』『幕が下りてから』などを執筆。人間の暗部や屈折した人間関係を、生きることの下手な、不器用な者の視点に立って描き出す姿勢は独特。どこかシニカルでユーモラスな味わいも特有。『アメリカ感情旅行』といった紀行ものや、歴史文学『流離譚』もある。その他『志賀直哉私論』に代表される評論、また随筆も多数。芸術院会員
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