内容説明
墨に親しみ、墨になじみ、墨をたよりにし、墨に誘われ、操られ、惑わされ、裏切られ、また墨に救われているうちに私は老いた。だが、まだ墨とのつき合いは終わらない。待望の自伝的エッセイ集成。
目次
1 玄―ふゆの章(あらたま;一本の線 ほか)
2 青―はるの章(もものくれない;大連生まれ ほか)
3 朱―なつの章(一葉の手に;疎開・吹雪 ほか)
4 白―あきの章(はかなきものを;墨いろ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
兎乃
22
先日 Eテレで“墨に導かれ 墨に惑わされ”というドキュメント番組があり 急いで再読。1913年/大正2年生まれの書家・美術家は 孤心孤独について 明瞭且つある種の頑固さをもって しなやかに語る。作品群のみならず その佇まいに憧れと敬意を胸に 熱く観 深く聴き 活字を追う週末を過ごした。従弟である映画監督/篠田正浩の'69作品“心中天網島"の美術も手がけており 今宵鑑賞することにする。2015/06/01
原玉幸子
4
「四十八茶、百鼠」と言われる日本人の色の繊細さを感じさせる、書家であり水墨芸術家の篠田桃紅の回想録です。日々の生活での描写もあるので「なーんだ、実は、芸術家が日々考えることや感じることは、自分と一緒かも」と思いもしますが、玄との黒に青を知覚する「墨いろ」との色彩感覚、見える世界の「線」を意識する感性、嗅覚の鋭敏さ、「よすが」との言葉他言い回しの端正さ等々は、自分には絶対有り得ない、「絶望的に憧れる」世界です。落ち着いて読みたい本なので、通勤電車での読書には余り馴染みません。(◎2020年・夏)2020/07/10
nakano
0
上品で、芯のある方だという印象。2012/10/07
真水
0
著者の文章が好き。艶やか。2011/10/27
すらすら
0
ギャラリー桜の木よりお借りした本2010/03/13