出版社内容情報
豊富なビジュアルにより世界の天井画、天井装飾をダイナミックに楽しめる一冊。
天空の神々を崇め、信仰の拠り所となる宗教施設(教会、寺院)、地域の文化や知性を象徴する文化施設(劇場、図書館、ホール)、王族や権力者の財力の象徴として作られた宮殿などの建築物、国家のアイデンティティを可視化する会議場や市庁舎など、宗教・文化・権力・政治の4章立てで約40点収録。
各作品の制作背景や作家についてなど、天井画をより楽しむための予備知識を紹介します。
全体像と詳細の両方がわかる写真を掲載し、「システィーナ礼拝堂」などの大規模作品は観音開きのレイアウトでダイナミックに掲載。肉眼でも詳細を見ることのでいない天井画の全体と細部を一度に楽しめる内容です。
いつか現地を訪れてみたい方にとってはガイドブックとして、アニメーターやクリエイターの方々にとっては資料本としても活用していただけます。
目次
第1章 宗教(ネオニアーノ洗礼堂、イタリア;血の上の救世主教会(ハリストス復活大聖堂)、ロシア ほか)
第2章 文化(オペラ座(パレ・ガルニエ)、フランス
ブルク劇場、オーストリア ほか)
第3章 権力(バンケティング・ハウス、イギリス;アルハンブラ宮殿、スペイン ほか)
第4章 政治(パラッツォ・ファルネーゼ、イタリア;アウクスブルク市庁舎、ドイツ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
220
「天井」を意味する英語「ceiling」は、空や天上世界を意味するラテン語「caelum」と言語学的にみて関連が深いらしい。宗教、文化、権力、政治という観点から、人間が描き出した天上世界をじっくり眺めることになる。上を見上げ続けて首が痛くなることがないのが有難い。シャガール/パリオペラ座、クルムト/ウィーンブルク劇場、ダリ/スペイン劇場美術館のような、芸術家の個性感じる天上画が心に残ります。あ~、旅したい...2021/07/31
starbro
192
図書館の新刊コーナーで見つけて読みました。華麗なる天井装飾の世界を堪能しました。実際に行ったことがあるのが、5か所なのが残念です。しかし西欧の天井は何でこんなにもゴテゴテしているのでしょうか? https://www.seibundo-shinkosha.net/book/art/53539/2021/03/02
更紗蝦
26
天井画と天井装飾をテーマにした本です。図版も解説もかなりのボリュームがあるので、ビジュアル本として眺めるだけでも充分楽しめる本なのですが、気になるのは、著者のCatherine McCormack氏の経歴が載っておらず、研究者なのかライターなのか分からないことです。文章量の割には参考文献が20冊しか挙げられておらず、図版はストックフォトなので、ひょっとしたら既存本を上手にまとめ上げただけの可能性が…。参考文献の日本語版がないのであれば、日本人にとっては「効率よく知識が得られる本」ということになりますが…。2022/05/28
G-dark
18
格調高い解説文に読み応えがあり、写真が大判なおかげで、世界各国の天井画や天井装飾の美しさをじっくり堪能できます。天井の装飾物が豪華な額縁のように見えてくることにもワクワク。わたしは特に、イタリアの「サン・パンタロン教会」の天井画に圧倒されました。ここに描かれているのは聖パンテレイモンの処刑。画家はジャン・アントニオ・フミアーニ。立体感が凄い!天使たちが羽ばたく不吉な音や、人間の呻き声が今にも聴こえてきそう…。恐ろしい光景なのに、つい見入ってしまいます。うっかり作品の中に吸い込まれてしまわないようご用心。2024/01/06
めぐみこ
7
教会・城・美術館・庁舎などの天井画をクローズアップ。神格化の表現の場だったり、権力者が支配力を伝えるためや為政者による国家アイデンティティを描く場だったり、ただ綺麗だなぁと眺めていたのが申し訳なくなった。アルハンブラ宮殿アベンセラッヘスの間の吸い込まれそうな複雑な構造が圧巻。ブリュッセル王宮 鏡の間《快楽の天国》は、遠目だとオーロラのような玄妙さで実に美しい。ただし材料がタマムシなのでアップは中々…(自主規制)。ほぼヨーロッパだけど、日本からも浅草寺本堂の《天人之図》《龍之図》が収録。2021/10/26