出版社内容情報
現在、アートが人々の健康や治療に与える好影響が、世界中の医療・介護の現場で注目されています。
各研究では、アート鑑賞が認知症の人の記憶、感性を呼び起こし、QOL向上にも効果があると証明されてきています。
ニューヨーク近代美術館(MoMA)では、「対話型アート鑑賞プログラム meet me」を開発、現在、全米100か所以上の美術館で行われているほか、ヨーロッパ、アジアの国々でも展開されています。
日本では、MoMAで同プログラムを学んだ林容子氏が代表をつとめるアーツアライブが、2011年より国立西洋美術館をはじめとした各地の美術館のほか、介護施設などで、日本向けにアレンジされたプログラム「アートリップ」を実施しています。
グループで作品を鑑賞し、進行役のアートコンダクターの質問に答えながら、参加者が感じたことや思ったことを発言します。
その会話が忘れていた感情を呼び起こし、認知症の方が生き生きと感想を述べたり、昔のことを話し始めたり。
同伴した家族からは、「昔のお母さんの顔に戻った」、「いつもイライラしている夫がおだやかになった」などといった意見が聞かれます。
林氏も参加した国立長寿医療センターの調査では、アートリップを体験した方の多くが、うつ症状が軽減、QOLが向上されたという結果が出ています。
さらに、世界10か国が参加している国際研究でも、「参加型アート」がウェルビーイング(幸福度)、QOL(生活の質)、さらに身体的健康も向上させることが証明されています。
本書は、MoMAではじまり、世界に広がりを見せている対話型アート鑑賞プログラムとはどのようなものなのか、また、日本のアートリップではどのような効果が出ているのかを紹介します。
高齢化が進む日本で、医療・介護現場においてアートが果たす役割に光を当てます。
内容説明
認知症には医者よりアートが必要!認知症の周辺症状の改善、予防効果を科学的に実証。
目次
序章 ある日のアートリップ
1 アートリップの7つの特徴
2 アートリップが起こした変化
3 アートは認知症に効果があるのか
4 アートリップのはじまり
5 アートは脳のチョコレート―アートと認知症の世界最新事情と今後の展望
著者等紹介
林容子[ハヤシヨウコ]
一般社団法人アーツアライブ代表理事。国際基督教大学、米国デューク大学を経て、コロンビア大学大学院にて、芸術経営学で日本人初のMFA(芸術学修士)を取得。帰国後はキュレーターとして国内外のアートプロジェクトの企画運営に携わったのち、一般社団法人アーツアライブを立ち上げ、認知症当事者を含む高齢者などを対象としたアートプログラムや、ビジネスパーソンのためのアートを活用した企業研修を行う。尚美学園大学・大学院芸術情報研究科准教授。一橋大学大学院、武蔵野美術大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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