内容説明
聞こえてくる花ばなのざわめき…。いけばなの世界に凛然と聳えたつ中川幸夫の花と、気鋭の社会学者・村上直之による詩的エッセイが20世紀末を生きるあなたを、深い花の思索へと誘う必読の1冊。
目次
プロローグ 切り花・断章
第1部 花のトピカ
第2部 花のポエティカ
第3部 花のエティカ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なる
11
華道にまつわる話を読んで触発され、かねてより好きだった中川幸夫に関する本を探しているうちにたどりついた本。筆者自身の花にまつわるエッセイが中心となっており中川幸夫が生み出す切り花とのコラボレーションではあるものの関連性はやや薄い。けれど冒頭の「切り花とは植物の脳死体の臓器なのだ」という、センセーショナルで反感を買いやすい言葉はなるほど、中川作品を念頭に置くと納得できる。エッセイとしては『檸檬』『ヴェニスに死す』『薔薇の名前』『ブレードランナー』などを題材にしており読みやすい。2020/06/10