出版社内容情報
デザイン誌「アイデア」で掲載された欧文書体関連記事約15年分をまとめて収録。欧文書体をめぐる多様な思想や文脈を提示。
2000年以降にデザイン誌「アイデア」で掲載された欧文書体デザイン関連の特集記事約20本を、約350ページにわたる大ボリュームで採録したコンピレーション。90年代のデジタル技術による革新にはじまって高度な発展と多様化を見せてきた欧文書体デザインの世界を、各プロジェクトの詳細な解説、タイプデザイナーへのインタビューや研究者による論考を通じて紹介。
私たちがPCや携帯情報端末で日常的に慣れ親しんでいる欧文フォントは、15世紀にグーテンベルクが活版印刷術を確立して以来の伝統と革新のうえに生み出されてきたものだ。
長年にわたって金属活字が主流だった欧文活字の世界に大きな技術的革新が訪れたのは、1980年代のMacintosh到来とDTP環境の普及だった。デジタル技術がそれまでの職人的世界から書体デザインを開放したことで、欧文書体は爆発的な勢いで増えていった。
1990年代は伝統書体をとりあえずデジタル化したものや、デジタルならではの可能性を追求した実験的書体が中心だったが、歴史研究の進展やコンピューターの処理能力向上、インターネットの普及とともに、近年ますます洗練された書体が生み出されるようになっている。
本書ではこのような四半世紀にわたる潮流全体をカバーし、グローバル化が進む現代において、デザイナーはもとより日々フォントに接する一般的ユーザーにとって重要なものとなっている欧文書体のデザインとその文脈を提示する。
【著者紹介】
アイデア編集部:誠文堂新光社発行、1953年創刊の季刊グラフィックデザイン誌。3月、6月、9月、12月発行。日本国内および海外のグラフィックデザインやタイポグラフィの最新動向や論考を豊富なヴィジュアルとテキストで紹介する。
目次
タイプデザイン・トゥデイ
図解 タイプフェイスとタイポグラフィの基礎知識
新しいタイポグラフィの主役たち―近年のポストスクリプト革命がもたらしたもの
ジャン=フランソワ・ポルシェ:パリの表情を変える活字書体デザイナー
フレット・スメイイェルス:手彫りの活字からデジタル書体まで
オリジナリティと改刻
アンドレ・バルディンガー:実験書体の系譜
ツイン・シティーズ―都市を表象する書体
ディド・エルダー―復刻書体のハードコア
イェール大学専用書体プロジェクト〔ほか〕