内容説明
師匠・山九亭初助の死を知らされた森野要こと山九亭感謝。その胸の内に、一枚の座布団の上で常に話芸の極みを目指し別世界を繰り広げ続けた誇り高い落語家への想いが去来する…。噺家は一生涯の全てを自分の芸の肥やしにするものだと、学ばせてくれたのも師匠だった。たとえそれが情愛でも、別れでも…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
せ〜ちゃん
30
★★★★★+α 初読みと続編の『花扇』を読んだ後での再読は受ける印象もまた違い何度も読みたくなる♡ 2冊ともとても素晴らしい作品です！ 実際恋人である噺家:山九亭感謝こと要と兄弟子の寒也のお話には留まらず、要を通して語られる師匠:初助の生き様に心を奪われるお話だった。自分の情夫でもある弟子のご褒美に可愛い男をあてがうとか常識では考えられない初助だが、要と初助のやり取りに何故か鳥肌が立つこともあり…初助の厳しくとも情のある言動に粋を感じ、その潔いまでの孤独の裏に隠された深い情の在り処を想う・・・。続く→2017/01/26
マッコリ
15
長年積んでたけど新装版と一緒に積読崩し。「座布団」「どどいつ」「品川心中」「相方」の４編。一つ一つは長い話じゃないのにギュッ～と詰まってる。なんだかずーっと長い間この人たちを見ていたような気分になっちゃった。初助師匠の存在感はものすごいなー。香田さんがけっこう好きでした。お墓参りにきてたのやっぱり香田さんだったんだ～とグッときた。【D】2012/04/25
たかはし
12
新装版既読。ユギさんの挿絵見たさに旧版も購入。イラストがあるとやっぱりイメージが膨らむし感じ方が違うなー。新装版にしか入ってないお話もあるので旧版はその分短いけど、ユギさんのイラストで落語家シリーズを堪能できるというだけで本当に買って良かったと思う！！！このシリーズ本っ当に好きだ。2014/02/16
あれぐり
7
思いがけずクリスタル文庫版が入手出来て再読。いつ読んでも完成度の高さに感動する！ユギさんのイラストが見られてよかった！2009/08/30
那岐
4
弟子二人のBLエピソードも師匠のオーラに全部持っていかれた。初助というキャラクターを世に生み出した作者に感謝。台詞にいちいち重みや深みを感じ、紙の上のインクとは思えない存在感に圧倒されました。芸に自分の人生を賭ける男、という人物像がとても魅力的。嗜好は置いといても、こういう人が現代にも生きていてほしいと思わずにいられません。弟子二人が羨ましいなぁ。2010/10/15
