出版社内容情報
◇ 解 説 ◇
病棟の社会的世界が患者の主観において如何に体験されているかを,著者自身による精神病棟での参加観察に基づき記述し,さらに他の型の全包的施設収容者の体験との異同の解明を企図する微視社会学の先駆的業績。
◇ ゴッフマンの社会学のシリーズ◇
ゴッフマンの社会学1 行動と演技
ゴッフマンの社会学2 出会い
ゴッフマンの社会学4 集まりの構造
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
富士さん
3
法や地位や貨幣のようなものは常に作り出されており、ジャングルの奥地にでも行かなければ原始的な社会とは出会えないという考えは、ひどい不勉強でしかないことがよくわかります。また、社会の安定は個人の社会化によると同時に、社会の公式のルールを個人が都合よく運用するという、社会の個人化とかみ合ってこそ達成されるのがよくわかります。これらは質的調査をはじめてやる際にぶち当たる、どこの何を記録すればよいのかに対する簡単かつ効果的な最良の模範解答となっており、著者の調査者としての能力の高さを示しているように思います。2019/02/11
STK
1
読みたいと思ってから何年も経って購入、しかしさらに数年の積ん読を経てやっと読了。半世紀以上前の文とは思えない内容。精神病院にこの前まで勤めていた身として、思い当たるところ多数。人は環境で行動が決められてくるということ、特に医療とか福祉の従事者は心に留め続けなくてはいけないと思います。2019/09/26
抹茶ケーキ
0
外部との接触を断たれた施設を「全制的施設」と呼びその性格を非収容者と職員の立場から記述。フーコー的な権力論の話とかなり似てると思った。人は何かを比較項としなければ自分を立ち上げることはできず、その比較項が施設になることもあるってところが特にフーコーっぽかった。たぶんこの点が後のスティグマ論に繋がっていくのだろうけど。非収容者が制度をかわすためにとる方略を第二次的調整と呼んでいるのだけれど、その記述が面白かった。2016/01/20
transzendental
0
入所型施設(精神病院、刑務所、修道院…)の古典的研究書。まず買えないので大学図書館など借りて読もう。記述は具体的で非常に興味深い。