感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
赤
1
実存分析はヨーロッパで発展したものだが、メイはアメリカ人であり、第三者的な視点からの俯瞰的な記述がなされていて興味深い。内容としてはハッチンズ夫人の症例で説明された原理の六つの特性、世界の三つの側面などが面白かった。新しい可能性としての存在が現れ、それによって不安が生じ、その不安から逃れるために現実から逃避、そしてその逃避のために心理機制などの説明を利用する、といった過程が鮮やかに記述される。世界においては、気づきなどの現象も複数の世界の側面にまたがり、また意味も違ってくるという点などが気になった。2014/11/21
okazukineko
1
大著、Existenceに収められたメイの論文に一部を書き足したもの。重要なのは、第六章で「存在の感覚(sense of being)という、メイのセラピーにおける基底概念が展開されている。その感覚によって体験されるのが「われ・ありの経験("I am" experience)」であり、それを元に「われ在り、故にわれ思い、われ感じ、われ思う」という「自己自身の実存の体験」が可能になる。ティリッヒの、「存在への勇気」における「絶対的信仰」とどう関わるのかな?要検討だね。2012/04/06