出版社内容情報
スポーツカウンセラーとしての30年にわたる実践をもとに、事例研究を含めたアスリートへの奥深い心理臨床の取り組みを世に問う書アスリート(スポーツ競技者)の最大の目標は競技での勝利である。そのため競技力の向上に向けて日々厳しいトレーニングに励むが、期待するほどにパフォーマンス発揮がなされない場合、アスリートはさまざまに悩み、苦しむ。そこでは身体面の変化のみならず心理面での変化も求められるのだ。本書は30年にわたるスポーツカウンセリングの研究実践をもとに、事例研究も含めたアスリートへの底の厚い心理臨床の取り組みを世に問うものである。
序 文 (山中康裕)
第1章 アスリートの心理サポート小史 (中込四郎)
1 はじめに
2 スポーツ心理学の始まり
3 1964東京オリンピックにおける「あがり対策」
4 アスリートのメンタルサポートのパイオニア
5 わが国のメンタルマネジメント研究班の活動
6 臨床スポーツ心理研究会の発足から新たな学会設立
7 アスリートの心理サポートにおける二つの資格制度の設立
8 おわりに
第2章 アスリートの生きる心理的世界 (鈴木 壯)
1 はじめに
2 勝ち負け、出来・不出来が明確
3 生真面目さ――完璧主義・強迫性
4 明るく元気に ――“影”の投影
5 優勝恐怖・成功恐怖 ―― ハード・トレーニングの裏側
6 低年齢化と受身性・幼児性―― 狭い体験世界
7 独特な人間関係
8 神様元型――自我インフレーション
9 身体性
第3章 アスリートの原風景 (中込四郎)
1 はじめに
2 原風景とは
3 アスリートの原風景を通して見えるもの
4 アスリートの原風景の特徴
5 トップアスリートの自伝本から読み取られる原風景
6 一卵性双生児アスリートの事例
7 おわりに
第4章 アスリートが遭遇する危機経験とその意味 (中込四郎)
1 はじめに
2 アスリートの危機様態とアイデンティティ形成
3 アスリートの来談の意味
4 アスリートのコツ獲得経験の発達的意味
5 おわりに
第5章 スポーツカウンセラーの仕事 (中込四郎)
1 はじめに
2 心理サポートの内容、特徴、立場
3 カウンセリングへの抵抗
4 スポーツドクターから紹介された事例
5 メディカルサポートとの連携
第6章 アスリートがカウンセラーの前で語ること (鈴木 壯)
1 アスリートのカウンセリング
2 アスリートがカウンセラーに自分自身を語ること
3 アスリートのカウンセリングとからだ
4 アスリートのカウンセリングの枠?構造 の特殊性
第7章 アスリートがカウンセリングで語る“からだとこころ” (中込四郎)
1 はじめに
2 パフォーマンスと自己表現
3 負傷アスリートが訴える“痛み”に含まれる多様なメッセージ
4 窓口としてのパフォーマンスの語り
5 “からだの語り”を内界からのメッセージとして受け止めるために
6 おわりに
第8章 競技生活のなかで身体が表す心理的意味 (鈴木 壯)
――心理サポートの事例から
1 はじめに
2 こころとからだがアンバランスになった選手の事例
3 アスリートの個性化とスポーツ
4 身体症状の心理的意味
5 アスリートの身体症状と病態水準
第9章 カウンセリングによる競技力向上・実力発揮 (中込四郎)
1 はじめに
2 メンタルトレーニングとカウンセリングの比較
3 来談の契機としての競技環境の変化
4 カウンセラーの前で語ること
5 「動き」の語りを通したメッセージ
6 おわりに
第10章 後年カウンセリングルームを訪れるアスリート (中込四郎)
――そのジュニア期の特徴
1 はじめに
2 タレント発掘に対する基本的立場
3 心理社会的発達刺激としてのスポーツ活動
4 事例の紹介
5 相談から見えてくるもの
6 おわりに
第11章 身体の動きの語りを通して行った心理サポート事例 (鈴木 壯)
――心理的強化を求めて来談したアスリート
1 はじめに
2 事例の概要
3 面接経過
4 考 察
5 まとめ
第12章 「夢」を介した心理サポートの事例 (中込四郎)
――競技期後半にさしかかったアスリート
1 はじめに
2 事例の紹介
3 面接過程
4 事例の検討
5 おわりに
付 章 十牛図を手がかりとした“研究すること”の意味探し (中込四郎)
1 はじめに
2 十牛図とは
3 十牛図と研究のプロセス:第1図から第10図
4 おわりに
あとがき
初出一覧
人名索引
事項索引
中込 四郎[ナカゴミ シロウ]
筑波大学体育系教授
鈴木 壯[スズキ マサシ]
岐阜大学教育学部教授
目次
アスリートの心理サポート小史
アスリートの生きる心理的世界
アスリートの原風景
アスリートが遭遇する危機経験とその意味
スポーツカウンセラーの仕事
アスリートがカウンセラーの前で語ること
アスリートがカウンセリングで語る“からだとこころ”
競技生活のなかで身体が表す心理的意味―心理サポートの事例から
カウンセリングによる競技力向上・実力発揮
後年カウンセリングルームを訪れるアスリート―そのジュニア期の特徴
身体の動きの語りを通して行った心理サポート事例―心理的強化を求めて来談したアスリート
「夢」を介した心理サポートの事例―競技期後半にさしかかったアスリート
十牛図を手がかりとした“研究すること”の意味探し
著者等紹介
中込四郎[ナカゴミシロウ]
1951年山梨県韮崎市生まれ。1974年東京教育大学体育学部卒業。陸上競技部所属。1977年東京教育大学大学院修士課程体育学研究科修了、北海道教育大学教育学部旭川分校助手。1983年筑波大学体育科学系講師、筑波大学体育科学系助教授。現在、筑波大学体育系教授。日本スポーツ心理学会(編集委員長)、日本体育学会会員、日本臨床心理身体運動学会(副会長)、日本心理臨床学会会員、日本箱庭療法学会会員、筑波大学スポーツクリニック・メンタル部門(代表)、国立スポーツ科学センター客員研究員、認定スポーツカウンセラー、スポーツメンタルトレーニング上級指導士、臨床心理士
鈴木壯[スズキマサシ]
1952年岩手県奥州市(旧胆沢町)生まれ。1970年岩手県立水沢高等学校卒業。1974年東京教育大学体育学部卒業。バスケットボール部所属。1977年東京教育大学大学院修士課程体育学研究科修了、岐阜大学教養部助手。1982年岐阜大学教育学部助手。1986年岐阜大学教育学部助教授。2004年岐阜大学教育学研究科附属心理教育相談室室長。現在、岐阜大学教育学部教授、岐阜県臨床心理士会会長。日本スポーツ心理学会会員、日本体育学会会員、日本臨床心理身体運動学会(副会長)、日本心理臨床学会会員、日本箱庭療法学会会員、認定スポーツカウンセラー、スポーツメンタルトレーニング上級指導士、臨床心理士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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