内容説明
心理療法過程における治療的変化を促進する要因として、セラピストが語る内容、語り方以上に、相互交流・“体験の現れ”を通してクライエントに伝わるセラピストの感性・姿勢、暗黙の信念・意図・思いが非常に重要である。この視点の検証に向けて、面接のなかのほんの小さなやりとりや言葉による交流の背景に漂う、言葉にしがたい相互交流の現象を“体験の現れ”という観点から考察する。精神分析的な心理臨床の現場でますます重要になってきている相互交流、それを理解するための間主観性理論への格好の入門書ともなっている。
目次
第1章 臨床体験―“体験の現れ”が相互交流に与えるインパクト(ふと口をついた言葉;交流がもてないクライエントとかかわりをもとうとする際に生まれた、非言語的かかわり合い ほか)
第2章 心の起源(心理療法過程における二つのテーマの相克;心の自閉的起源―歴史的展望 ほか)
第3章 情動調律(関係性に生起する「情動調律」;「情動調律」の背景となる発達観―「自己感」の発達 ほか)
第4章 体験の現れと言葉化(“体験の現れ”について;“体験の現れ”と情動発達の関係)
第5章 臨床から理論へ・理論から臨床へ(臨床素材の検討;心理療法過程における相互交流)
著者等紹介
森さち子[モリサチコ]
1986年慶應義塾大学文学部人間関係学科卒業。1991年慶應義塾大学大学院社会学研究科修士課程修了。2008年慶応義塾大学学術博士取得。現在、慶應義塾大学総合政策学部准教授、同大学医学部精神・神経科学教室兼担准教授、放送大学客員准教授、サイコセラピー・プロセス研究所副所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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