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内容説明
紛争をまねく集団心理を暴き出し、和解への希望を探る。憎しみと赦しの深層。実験と実例にもとづく知見の数々がわかる!
目次
第1章 拡散する敵意―紛争とスケープゴーティング現象
第2章 何が和解をうながすのか―個人間の葛藤解決から集団間の紛争解決を考える
第3章 集団間の紛争はどのように悪化するのか―キャンプ実験を例に
第4章 集団間葛藤をもたらす心―進化シミュケーションによる分析
第5章 広報外交の政治心理学実験―見えない危機における政府発言の効果
第6章 ノン・アポロジーの政治心理分析―オバマの広島訪問、安倍の真珠湾訪問は何をもたらしたのか
第7章 武力紛争後の多民族地域における和解の必要性をめぐって―旧ユーゴの三事例を中心に
第8章 クロアチアの民族紛争と歴史教育を通じた和解の試み
第9章 紛争後のルワンダに見る和解の可能性と課題―ガチャチャを中心に
第10章 ルワンダにおける元戦闘員と障害者への技能訓練の和解効果
著者等紹介
大渕憲一[オオブチケンイチ]
1977年東北大学大学院文学研究科心理学専攻博士後期課程中退。現在、放送大学宮城学習センター所長、東北大学文学研究科名誉教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Sayaka Nakano
2
いろんな方面の研究者が紛争と和解を心理学的な観点から研究した論文集。視点が様々で、一つの論文で論じられた内容が次の章で前提から覆されたりしていて面白い。実験の結果から、どんな提案より弁明より行動より、他者を糾弾することが人々の指示を集めることが立証される話がとても世知辛い。集団を統率する権力を民主的な選挙制で決める限り分断が生まれることは避けられないという構造的な問題のやるせなさ。後半取り上げられている実際の紛争後問題に取り組むレポートにはまだ希望が感じられたのが救い。2022/12/09