出版社内容情報
被災者への支援として心理学に何ができるか。本書では東日本大震災時の活動例や被災者研究を紹介。今後に活かせるものが見えてくる。被災地を物資や経済の面で支援することは極めて重要だが、それに加え、阪神淡路大震災後は「被災者への心理的なケア」の必要性が言われるようになった。先の東日本大震災でも、各地で心理的・社会的な支援が行われたが、その詳細をまとめて知る機会はいまだ乏しい。本書ではそれぞれの活動報告や被災者研究を紹介し、より望ましい支援のあり方を考えるうえで、参考となるいくつもの切り口を提供する。
第?部 地域と被災住民のレジリエンスを高める
第1章 住民とともに行う地域見守り活動
1 はじめに
2 巨大災害と地域見守り活動
3 実践研究のフィールドと研究手法
4 地域見守り勉強会のきっかけ
5 地域見守り勉強会の初期の経緯と「失敗」
6 地域見守り勉強会の立て直し
7 主体性を引き出すには
8 おわりに
第2章 震災により死別・離別を経験した遺族への心理社会的支援
1 震災による死別・離別とその悲嘆反応
2 災害後の死別による複雑性悲嘆
3 今回の助成によって行った活動の背景
4 今後の活動について
第?部 被災住民の身体と心を支える
第3章 避難してからは運動が身を守る
1 はじめに
2 支援の経過
3 避難所への避難者に関する調査
4 支援のその場での効果の評価
5 避難所では体を動かそう
第4章 地震後に生じる心理ストレスと身体の揺れ
1 はじめに
2 地震がヒトにもたらす影響
3 心理ストレスと身体の揺れに関する調査
4 地震が心と身体に与える影響
5 調査のまとめ
6 巨大地震後の支援
第?部 被災した災害救援者への心理支援
第5章 多職種協働によるこころの健康支援のシステム作成――陸前高田市での実践活動
1 はじめに
2 支援活動の概要
3 活動内容の実際
4 おわりに
第6章 災害で人を救う人を支えるために
1 消防職員のストレスケア活動
2 被災した消防職員のストレスの実態
3 ストレスケアの評価
4 災害救援者のストレスケアのあり方について
第?部 被災者研究のあり方をめぐって
第7章 災害後のフィールドワークは復興に貢献できるのか
1 はじめに
2 足湯というフィールドワーク
3 災害時におけるフィールドワークの実際
4 コミュニケーションツールとしての復興曲線
5 フィールドワークは復興に本当に役立たないのか
6 フィールドワークが震災復興に役立つために
執筆者
永田 素彦【第1章】
伊藤 正哉【第2章】
中島 聡美【第2章】
村上 典子【第2章】
小西 聖子【第2章】
熊本 圭吾【第3章】
本間 元康【第4章】
島津 明人【第5章】
松井 豊【第6章】
水田 恵三【第7章】
日本心理学会[ニホンシンリガッカイ]
安藤 清志[アンドウ キヨシ]
東洋大学社会学部社会心理学科教授
松井 豊[マツイ ユタカ]
筑波大学人間系教授
内容説明
被災者のためにできることは何か。一瞬にして日常生活を奪われた被災住民を支えるために、そしてその救援者を支えるために、心理学者は何を提供できるのか。東日本大震災時の活動記録より、今、心理学ができることが見えてくる。日本心理学会による心理学叢書第6弾。復興に向けての心理学の貢献を紹介する。
目次
第1部 地域と被災住民のレジリエンスを高める(住民とともに行う地域見守り活動;震災により死別・離別を経験した遺族への心理社会的支援)
第2部 被災住民の身体と心を支える(避難してからは運動が身を守る;地震後に生じる心理ストレスと身体の揺れ)
第3部 被災した災害救援者への心理支援(多職種協働によるこころの健康支援のシステム作成―陸前高田市での実践活動;災害で人を救う人を支えるために)
第4部 被災者研究のあり方をめぐって(災害後のフィールドワークは復興に貢献できるのか)
著者等紹介
安藤清志[アンドウキヨシ]
1979年東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。現在、東洋大学社会学部社会心理学科教授、文学博士
松井豊[マツイユタカ]
1982年東京都立大学大学院博士課程単位取得退学。現在、筑波大学人間系教授、文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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