出版社内容情報
万葉以前の古から、日本人は美しい自然の中にあふれる色彩を衣服に染めて楽しんできた。さらには陶磁器や家具、調度品、あるいは鎧兜などの武具に至るまで、様々な色彩を取り入れて色を表現した。本書では、数多くの伝統色を取り上げ、それにまつわる歴史的な逸話や染材などを紹介する。4色口絵8頁、色見本付。
内容説明
「緋」「蘇芳」「藍色」「浅葱」「梅染」「利休茶」「龍胆」「半色」…なぜ、その色に心を打たれるのだろう!四季を楽しむ全138色!
目次
春の章―赤、薄赤、黄系の色(赤―農耕民族日本人の太陽信仰;茜―卑弥呼が献じた「絳青〓」の色 ほか)
夏の章―緑、青、薄青系の色(緑―草木の生命力を色に託す;萌葱色―若武者、平敦盛の鎧縅 ほか)
秋の章―茶、橙系の色(茶色―茶の伝来とともに生まれた色;橡―大伴家持が好んだ着物 ほか)
冬の章―紫、無彩色系の色(紫―宮廷びとにもてはやされた理由;紫根色―権力を象徴する色 ほか)
著者等紹介
中江克己[ナカエカツミ]
函館生まれ。思潮社、河出書房新社、学研などの編集者を経て、現在は歴史作家・染織文化研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
77
色見本が最初のカラー頁に載っているので該当する色の紹介と行ったり来たりしながら読んでいました。媒染や染めの回数で全く、違う色になる、季節に応じての色のテーマがあるなど、様々な驚きがありますし、「この漢字はこんな読み方をするのか」という発見もあります。また、役者贔屓の色を持って応援するなど、現代での「推し色を纏う」という現象もあったそうです。2022/01/04
あこぶ~
2
「読んだ」とは言い難く、『あきない世傅 金と銀』を読みながら、都度つど色の確認のために開いています。読了する日は来るのかな。でも実は『色辞典』というトンボの色エンピツを、20年以上前にオットからプレゼントしてもらい、今でも使わず持っています。綺麗すぎて使えなーい! と抽斗の奥に仕舞ってあるエンピツよりも本のほうが色は確認しやすいし。それにしても色の和名は美しく、日本人で良かったー、とシミジミ思います。小説に出てくる色すべては網羅されていませんが、色の歴史や染め方も書いてあり、視覚障害者にも説明しやすいな。2024/04/27
マリアセシリア
2
章が変わるたび、巻頭の色見本を何度も見ながら読み進めた。日本人って本当に繊細なんだな、、、と、つくづく思う。古代から平安時代まで遡って存在した色は、万葉集、源氏物語、枕草子などの文学に細やかに表現されている。江戸時代に流行した色は、正に「粋」なものばかり。この類の書は途中で飽きて投げ出してしまうことが多いが、最後まで読了した。2023/06/16
Satochan
1
日本の伝統色を解説する本。色見本付き。もうすぐ発売される「江戸彩り見立て帖 」続編の副読本として読んでみた。刈安と鬱金って似たような色なんだ。とか、御納戸色や桜鼠ってこんな色なんだ。とか、いろいろわかります。時代小説を読むとき手元に置いておくと便利。かな。2023/08/18