内容説明
江戸時代は、元禄以前が面白い、という。―下剋上の室町時代から戦国の長い戦乱の世が終わって、ようやく、平和な世の中が到来したか、にみえた京都。表面は平和を迎えても、政治、財政、世相の各面でさまざまな危機をはらんでいた。街には「かぶきもの」と呼ばれる無頼な者たちや、力を持てあます武勇の牢人たちがたむろしていた。この混沌をみごとにさばいた京都所司代、板倉勝重・重宗の活躍を通じて、これまでの歴史が語らなかった、江戸時代史の空白を、生き生きと描いた秀作。
目次
第1章 戦後、混乱の京都を治めた所司代・板倉父子の名裁き
第2章 武家社会を貫いた「仇討ち」の作法
第3章 飽食の“平和”が生んだ「浪人」の事件帳
第4章 太平の江戸に横行した「かぶきもの」の犯罪
第5章 江戸時代の金と殺人の惨劇
第6章 女の恐さ、したたかさを証す元禄の世界
第7章 江戸時代の金融道の実態
終章 京都を舞台に対決した天皇と将軍・所司代