目次
第2部 政治と世界(二十世紀後半の世界(先進国と発展途上国;アメリカ合衆国 ほか)
軍備と戦争(経済発展と戦争;原子力の平和利用 ほか)
政治体制の選択(指導者の条件;ファシズムへの防塁 ほか)
一つの世界へ(新たな国際通貨を求めて;東アジアの役割 ほか))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
15
現在最良の政治制度と思われる民主主義を強くするには、民衆が賢明になる以外にない―池田先生が祈りをこめて語られる。「戦争は絶対悪であり、人間生命の尊厳への挑戦」「クラウゼヴィッツ的な戦争肯定論(戦争とは形を変えて行われる外交である)もいかなる戦争肯定論も断じて廃棄すべき」と先生が語り、トインビー博士も「むしろ、戦争とは外交の失敗に対する報い」と。中国に対する博士の期待の大きさ。戦争を廃するために、世界政府構築を志向する両者だが、中国のリーダーシップなど形成過程の在り方について意見の相違がある。熱い議論。2024/08/25
ロビン
15
中巻は「政治と世界」という大テーマのもと、愛国心と人類愛、原子力の平和利用、民主主義と独裁制、世界統合化への道などが語り合われる。「世界統合化の問題を乗り越えて人類の存続を可能とするものはただ一つ、宗教的情熱と宗教理念」と語る池田名誉会長、「将来、地球的規模でなされるべき人類の自発的統合にあたっては何らかの共通の宗教が世界に広まることが重要な役割を果たす」と語るトインビー博士。共鳴しつつ世界政府の在り方については意見の相違も。世界の諸民族を一つに結ぶ宗教ないし哲学が必要との師匠の強い信念を改めて心に刻む。2023/01/24
イプシロン
13
政治、軍事、政治体制、世界統一国家についての対談。軍事行動は政治外交が失敗したことへの報い、という表現は実に的を射ている。また、軍備や軍事行動が、最も無駄な経済活動ないし殺人行為であることは自明の理ではあるが、しっかりと語られている。政治体制の対談は、まるで『銀河英雄伝説』を読んでいるようだった。件の作品を読んでいる人なら、すんなり理解できる内容。世界統一国家への展望は、両氏の意見の分かれた部分。EC方式、中華思想が提示される。だが、世界的に通用する思想、宗教理念の敷衍が鍵である点では一致している。2014/10/08
wiki
8
政治と世界の話へと移行する。社会学的な事に興味のある自身からすれば一巻の方が興味深く読んでしまう傾向あり。半世紀弱たった今、世界は二人がそれぞれ考えた世界をマーブルにした如く進展している。中央集権化する中国と、綻びの見えるEUと。長期的に見ればブレグジットも一時のケンカのようなものと捉え、再度仲直りするまで粘り強く外交していくことで復縁を遂げる事もあるだろうか、と思った。世界における日本の役割は創造性と融和的精神であると。たしかにそうだ。肌の色や宗教で対立するのは不思議な感覚だ。留学中もそれは感じた。2018/05/03
wiki
6
歴史家の視点と、宗教家の視点から想像される世界のあり方と今後の展開について、非常に興味深い。中国が重要であると捉える点は両者とも同じだが、どう展開していくかに両者の違いははっきりと現れる。いま、この対談より半世紀近く経った。いやまして二人の対談内容が強い響きを持つ。EUはこのまま分解され、ナショナリズムが勝つのだろうか。東アジア共同体が中国を中心に構成されるのか。日本と中国がよりかたく友好関係を築かねばならない事は二人の対談内容が示していると感じる。日本の役割は大きい。2016/07/12