出版社内容情報
易・陰陽五行の中国哲理から、わが国の祭り、習俗の謎を解き明かす吉野裕子の著作を年代順に網羅した全集!『扇』『祭りの原理』を収録。
内容説明
性と古代信仰への大胆な推理から易・陰陽五行の新機軸導入へ、日本民俗学に新たな道を切り拓く。
目次
扇(青島から沖縄へ;踊りと扇;祭りのなかの扇;扇の起源をさぐる;御嶽と蒲葵;神の顕現とは;大嘗祭の蒲葵;ミテグラ;扇と神事の解釈;沖縄石垣の豊年祭)
祭りの原理(蒲葵;産屋―古代日本人における生誕の原理;喪屋―古代日本人における死の原理;蛇―古代日本人における性;箒神―ハハキ考;山の神;神迎え;神送り;勾玉考―三種の神器;古代日本人における世界像と現世生活像)
著者等紹介
吉野裕子[ヨシノヒロコ]
1916年東京に生まれる。1934年女子学習院、1954年津田塾大学、各卒。1975~87年学習院女子短期大学非常勤講師。1977年3月『陰陽五行思想からみた日本の祭』によって東京教育大学から文学博士の学位を授与される。現在、山岳修験学会、日本生活文化史学会、各理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ハイパー毛玉クリエイター⊿
2
沖縄(琉球)や各地の祭りを取材するなどし、日本の古代信仰を探る。 信仰や祭祀にことごとく性を擬くものや象徴が見いだせるということを繰り返し主張するので最初は正直ぎょっとしたが、説得力のある具体例が次々と鮮やかに登場してくるので興味深い。 祭りの所作について、現在地元で伝え残されている“意味”を「後付けであろう」と一蹴し、自身の説にあてはまるよう強引に話を持って行ってしまう等、ところどころ根拠が薄弱な点もあるにはあるが。生と死は方向が逆になっただけの同一の現象であると捉える古代人の考え方も面白い。2013/12/20
大臣ぐサン
1
蛇でおなじみの吉野裕子先生。全集の第1集は1970年の『扇』と1972年の『祭りの原理』。『扇』は吉野裕子が民俗学の道に進んだ第一歩として重要なモチーフとなる。民俗学を扱うとなると、どうしても性的な内容に触れなければならなくなるわけだが、吉野裕子はかなりあけすけにそこに踏み込んでいく。学究のためなら当然のことであるが、女性が性の話を大っぴらにすることに対して当時は相当な非難があったようだ。まあ、未だにそういう部分はあるのだが。うかつに男根崇拝の話などしようものならセクハラ扱いされかねない。くわばらくわばら2021/09/17
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