出版社内容情報
相撲は神事、宮中の公式行事だった。儀式書、有職故実書、貴族の日記から相撲の原初の姿を見る。
内容説明
相撲は単なる競技、職業的な興行物と現在考えられているが、もともとは豊穣祈願の神事と深い関係にあった。柳田、折口の民俗学説を敷衍しながら、悪霊を鎮め追い払う呪術としての相撲に注目。記録にみる相撲、天覧相撲の歴史、文学作品や儀式書ほか、民俗研究ではとかく軽視しがちな史料をひもときながら、節会相撲を中心に大相撲の源流を辿ったユニークな取組み。
目次
序章 相撲概説
1 序論
2 記紀にみる相撲
3 天覧相撲の歴史
4 文芸作品でみる相撲
5 儀式書の語る相撲節
6 節会の実相
7 節会以外の相撲
8 節会相撲の本義をさぐる
著者等紹介
飯田道夫[イイダミチオ]
1935年京都に生まれる。1961年同志社大学大学院英文科卒
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amabiko
2
奈良時代〜院政期に宮中で行われていた相撲節会に関する唯一の単行書。相撲をとる事よりも、シコによる辟邪が主たる目的という見解。相撲節会で併演された猿楽(散楽)の演目に、高足や一足といった棒で大地を踏む曲芸が含まれている事を想起するとき、この説の妥当性も高まる。ただし誤植が多い。気付いた限りで、p14×文久→⚪︎文永、p48×宗書→⚪︎宋書、p66×兵衛府と名をかえ→⚪︎近衛府と名をかえ、p91×天平十三年(七三一)→⚪︎天平三年(七三一)、p99×密僧→⚪︎密教僧、p108×こうみょう→⚪︎きょうみょう。2015/05/01