内容説明
日本の古来の信仰、神々の体系を一変させた白鳳期の国家的呪術。「近江遷都の謎」「改葬された天武天皇陵」「高松塚の被葬者は誰か」「北斗七星と伊勢の祭り」「陰陽五行を隠した天皇の即位式」―。異国の神々、異国の信仰を巧みに取り込み、その後の日本人の神事や行事、生活を律する新たな原理を生み出した天武・持統朝の歴史学・民俗学上の最大疑問を見事に解き明かすさまざまな視点。
目次
第1章 日本古代の神々
第2章 大君は神にしませば―白鳳期の呪術
第3章 伊勢に隠された神々―伊勢神宮の謎
第4章 大嘗祭でまつられる神
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
林 一歩
10
Fieldworkの参考書2012/08/14
えびちり
2
完全ネタ本として購入してみたけれど、割と読み応えのあるネタというよりはロマン本。女性が書き手のせいか、やや情緒的な部分の仮説が多い気がして、もう少し参考資料や実地検証が欲しいところ。まあ「そうだったらオモシロいよね」と余裕をもって読むにはいいかもしれない。少しオカルトに偏っている部分もあるけれど、日付や方位に関して古代では大切なファクターであることはよく知られているので、それなりにリアル感あり。しかし日本人のおおらかな宗教観、他神の受け入れや吸収に関しては感心させられる。いい加減ともいうけど。2019/09/19
マープル
1
だいぶ前に購入したまま積読状態だった本。さいきん民俗学や考古学系の本を読んでいたので、読書の流れに勢いが出て読んだのだが、圧巻。もとは講談社現代新書だったらしいのだが、なんで絶版になったのか不思議。中国伝来の陰陽五行思想と日本古来の習俗の習合として神社や皇室の行事を読み解く。2011/04/01
ぽんころ
0
吉野民俗学のファンだが、これは特に記憶に残っている。四書五経が明治まで知識人の知識人たるベースになっていたのを考えると、易や五行、陰陽道が権力者権力により徹底的に使用されるのは当然だろう。 こう書いてあるからこう、という儒教の考えるな、こういうもんなんだって部分を削除して、こうも読めるし、こうした方がいいんじゃないの?と工夫でもって複雑により高レベルなものに、という方向での努力が実に日本人らしく、神への畏怖と同時にそれすら使役の対象として接してしまう大らかさにやっぱ日本人だなあと妙に納得。