内容説明
紀元前7世紀から4世紀にかけて描かれたギリシアの壷絵(陶器画)は、現存する「絵画」としてはもっとも古く、当然、文字資料(文学)をはるかにさかのぼる。伝承の過程で多くの変異・変遷をたどった神話の原型を探るうえで、こうした壷絵、古代建築の装飾やコインの意匠は重要な資料であるばかりでなく、美術的にも高く評価されている。本書は、従来の発掘成果をほぼ網羅し、神話の世界を鮮やかに読みとく。また世界中の収蔵品から図版370点を収録、美術・神話に興味のある人、これから西洋古典、神話を学ぶ学生にふさわしい入門書である。
目次
第1章 序
第2章 実例による具体的な解説―ヘーパイストスの帰還:トローイロスとアキレウス
第3章 神々の肖像
第4章 支配権を握るオリュンポスの神々
第5章 ペルセウスとベレロポーン
第6章 ヘーラクレース
第7章 テーセウス
第8章 アルゴナウタイ:カリュドーンの猪狩
第9章 トロイア戦争
第10章 トロイア戦争の後日談
著者等紹介
カーペンター,T.H.[カーペンター,T.H.] [Carpenter,Thomas H.]
オハイオ大学教授。D.Phil.(オックスフォード大学)。ギリシア考古学、ギリシア宗教・図像学
眞方陽子[マガタヨウコ]
1940年北海道生。津田塾大学英文科卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(西洋古典学)単位取得退学。元神戸女学院大学・甲南大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ウイロウ
2
本文と図版にほぼ同じ紙数(約140頁)が割かれている。収載された図版は370点。ギリシア神話をモチーフとしたBC7~4世紀(アルカイック期・クラシック期)の壺絵が主だが、同時代の彫刻やコイン等もある。古代ギリシアを代表する美術作品とともに、神話の世界を堪能できるのが素晴らしい。図版が全てモノクロなのと、その一部が写真ではなくイラストであることだけが不満。しかしこの日本語版の巻末には、「グロッサリー」と題したおよそ50頁の用語解説集が訳者によって加えられており、ちょっとした神話事典としても使えるのが嬉しい。2013/08/22
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