内容説明
本書が目指すのは政治経済的な、マクロな植民地研究ではなく、支配者と植民地の人びとが出会う個々の場における「植民地経験」の解明である。征服と抵抗、徴税と徴用、住民と土地の登録、開発、学校制度、裁判、混血化と文化の混淆…支配する側とされる側のコミュニケーションの具体的な検討を通じ、生きられた植民地経験の諸相を描く。人類学者と歴史学者による共同研究の画期的成果。
目次
序論 植民地経験の諸相
メアリ・キングズリの西アフリカの旅―フィールドワークにおける民族とジェンダー
西アフリカにおける二つの間接統治―ルガードとモレルの比較
植民地統治における差異化と個体化―仏領西アフリカ・象牙海岸植民地から
討伐する側とされる側―すれちがう相互認識
南ローデシア植民地形成期におけるキングズリ・フェアブリッジ
西ケニア山村からみた大英帝国―個人史が世界史と交錯するとき
裁判官のかつら―ケニアの植民地体験と法文化の異種混合状況
少年が見たエジプト1919年革命
「供犠」のゆくえ―コロニアル・インドとポストコロニアル・ランカ〔ほか〕