内容説明
現代天皇制研究の第一人者が描く、明仁天皇の半生。戦時下を生きた幼少時代、新生日本の期待を一身に背負った皇太子時代とミッチーブーム、自らの行動をもって「象徴天皇制」を定着させた平成時代、そして200年ぶりの生前退位へ。平和と安寧を祈り、国民と苦楽をともにするという姿勢を通し、天皇イメージを大きく転換させた、明仁天皇の半生に迫る決定版。
目次
はじめに―「平成流」の皇室と国民意識
第1章 新しい皇太子像の創出
第2章 ミッチー・ブームとその後
第3章 次期天皇への芽生え
第4章 新天皇の意志
終章 「平成流」の完成へ
著者等紹介
河西秀哉[カワニシヒデヤ]
1977年愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(歴史学)。神戸女学院大学文学部准教授などを経て、名古屋大学大学院人文学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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秋津
5
平成の天皇の行動に焦点を当て、象徴天皇制、そしていわゆる「平成流」と呼ばれる天皇の在り方が戦後社会の中でどのような位置付けにあり、変化していったかについて考察されている。「象徴」といった「あいまいな概念」(終章)を付与された天皇は、好意的なものだけでなく、時に現れる「孤獨の人」や「皇太子への憂鬱」といった不満や「飽き」などの反応の中で、自身の模索を繰り返し、「ある種の完成形を迎えた」(終章)象徴天皇制とその担い手としての天皇の姿を窺うことができた。本書は『明仁天皇と戦後日本』(洋泉社歴史新書y)の増補版。2019/11/19
遥
4
川西秀哉さん著の「平成の天皇と戦後日本」を読み終えました。平成の天皇、明仁天皇が戦後の日本でどのように育ったのかや、皇太子・天皇になったときにどのように考えて行動したのかがよくわかる本です。僕は、2000年代生まれで天皇が日本の象徴であるというのは小さいころから教えられて当たり前でしたが、その道程は決して易しいものではなかったということを知りました。明仁天皇をとりまく世論やメディアや国家などの環境がよくわかる良書だったと思います。2021/08/30
Oltmk
3
一昨年退位した今上上皇が皇太子時代から戦後昭和、即位後の国民が抱いたイメージの変遷やそれに対してメディアがいかに報道してきたかなどを記した専門書で如何に天皇という近現代国家の国家元首といえど安寧とした存在という訳ではなく行動などによって自ら動いていかなければならないのだと理解できる。天皇に関するメディア報道や、皇室をタブー視する姿勢などが生まれてきたのかの一端を知る事が出来る書籍でもある。2021/02/06
そーすけ
2
264*明仁さんの歩み。メディア報道の変遷と、国民の天皇への受容について参考になる。2019/10/17