内容説明
知られざる「ハプスブルクの女帝」の全貌に迫る、第一人者による圧巻の評伝。「帝国の女主人」として、男性政治の歴史からは特例とされ、フェミニズム研究の範疇からも除外されていたマリア=テレジア、その実像を解き明かす。
目次
第9章 王朝の資本(若き紳士淑女;教育方針;政治の犠牲者;イサベラ・デ・パルマ;もう一人の犠牲者;神とファン・スヴィーテン)
第10章 母と息子(インスブルックでの死;国なき皇帝;啓蒙はいかにして宮廷にもたらされたのか;主導権争い;共同統治のジレンマ;《ポーランドケーキ》の分割)
第11章 統治の宗教(崇拝し、崇拝され;理性的な信仰;非同時性の同時性;国家教会政策;吸血鬼、奇跡の癒し手、暦作り;自由思想者とファッション哲学者)
第12章 自国の内の異質なるもの(統一と多様性;“不安と嫌悪”―ユダヤ人;“不治の疥癬持ちの羊”―隠れプロテスタント;我らが善きトルコ人)
第13章 臣民(我が忠実なる臣民;情報の洪水;勤勉と規律;新しい学校;正義と慈悲;ボヘミアでの反乱;最後の戦い)
第14章 母権制の秋(生への厭忌;分身マリー=クリスティーヌ;模範例;従順ならざる娘たち;ナポリのカロリーナ;パルマのアマリア;マリー=アントワネット;マクシミリアン;実家組;長旅にそぐわぬ天色)
第15章 エピローグ(君主の徳;統制社会神話;古色蒼然)
感想・レビュー
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のん818
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妻に従順だった夫亡き後を継いで神聖ローマ帝国皇帝となった長男との「共同統治」が始まると、マリア・テレジアは揺らぎ始める。建前では皇帝を立てながらも彼を全く信頼せず、彼が異を唱えようものなら「母を裏切るのか」と国政に愛情を持ち込むさまは、読んでいて痛々しい。「皇帝」というポストへの執着、子供たちをコントロールしたいという欲求は病的とも言える。彼女がユダヤ人を追放していたことは知らなかった。ナチスでも「あのマリア・テレジアもそうだった」と唱えられていたが、戦後それは密やかにされていたという。2024/08/08
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