内容説明
日中戦争下、〓介石は米英ソの指導者たちと多くの書簡を交わした。中国の存亡を賭けた決戦下で、各国首脳との往復書簡は、もう一つの戦場であった。日中戦争の帰趨に、〓介石の書簡はどのような影響を及ぼしたのか。マルチアーカイブの手法で、〓介石の多角的な外交を明らかにする。
目次
第1章 日中戦争の勃発と孤立、一九三七年(日中戦争勃発;日独伊の調停案への警戒 ほか)
第2章 最大の支援国家ソ連、一九三八年(戦況の推移;イタリアの変心 ほか)
第3章 ソ連への期待と失望、一九三九年(中ソ同盟を熱望;スターリンの不信感の源 ほか)
第4章 世界大戦への道、一九四〇年(英ソ関係を注視;中ソ軍事同盟の提案 ほか)
第5章 日米妥協の阻止、一九四一年(松岡外相の訪ソ;松岡外相の大風呂敷 ほか)
著者等紹介
麻田雅文[アサダマサフミ]
1980年東京生まれ。2010年北海道大学大学院文学研究科歴史地域文化学専攻スラブ社会文化論専修博士課程単位取得後退学。博士(学術)。専門は東アジア国際政治史。現在、岩手大学人文社会科学部准教授。第8回樫山純三賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Toska
6
蔣介石の戦争指導の評価はけっこう難しい(例えばウィルモットの『大いなる聖戦』ではボロクソだった)。本書はその中でも、彼の外交努力にスポットを当てた一冊。蔣本人としては苦労話の連続だから気の毒なのだが、とにかく無類に面白い。国益(という名のエゴ)を建前で包んだ、ヒリヒリするような仁義なき外交戦。年代記よろしく一年刻みで描写されているので時系列が分かりやすく、状況がスムーズに理解できる。2022/08/26
wuhujiang
2
日中戦争期中国の外交政策についての一般書もここ数年で増えたなあと思える。中でも蒋介石とソ米英の書簡外交を主軸にした本書は今まで読んだ中では読みやすさ随一。数ページごとに細かく節が分かれている点も読みやすい。ところどころ著者も呆れているような言葉を使っているが、蒋介石の書簡は非常にしつこく援助や軍事協定を求めていく。特に欧州戦争が始まってしまった後はどの国も自国優先で対処する中、是が非でも援助を欲した蔣介石のしつこさが援助を引き出したと考えればこれは成功だったといえるだろう。2022/02/28
takao
0
ふむ2025/08/08