内容説明
中国人は、空を飛ぶことにどれほどの関心を持っていたのであろうか?堯・舜の神話伝説時代から、漢魏六朝の古譚、唐宋の伝奇、明清の小説戯曲、そしてウェスタン・インパクトにさらされる清朝末期の新聞雑誌、二〇世紀中葉の中国でささやかれた都市伝説まで。神仙、凧、パラシュート、飛車、気球、飛行船、UFOと、空を飛ぶことに思いを馳せた中国人の言動のあれこれを鮮やかに描き出す。虚実ないまぜになった奇譚によって綴られる中国飛翔文学誌。図版多数収録。―さあ、中国人が綴り語ってきた「空飛ぶ」おはなしをよんでいこう!
目次
仙人とは飛ぶ人なり
よりよく落ちるための想像力
鳥に乗りたかった人びと
凧よあがれ風に乗れ
天翔る“飛車”
進化する“飛車”
八月の槎に乗って
月世界への旅
空にあいた穴のむこう
霧のなかの飛翔者〔ほか〕
著者等紹介
武田雅哉[タケダマサヤ]
1958年北海道生まれ。北海道大学大学院文学研究科修士課程修了。専攻、中国文学。北海道大学文学部教授。主著、『蒼頡たちの宴』(ちくま学芸文庫、1995、サントリー学芸賞受賞)『中国のマンガ“連環画”の世界』(平凡社、2017、日本児童文学学会特別賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スターライト
8
中国文学に現れた空への思いを、古代から中華人民共和国成立までの約三千年の歴史から渉猟し、豊富な図版で紹介した労作。人間が空中を浮遊するだけのものや、パラシュート、飛車などの道具・機械の類を使用したものまで、果ては精神の力で空を飛んだり、UFOへも言及するなどお堅いタイトルから受ける印象とは違い、筆者の筆は軽やかに舞う。中国の文化や思想なども垣間見え、遊びの中にも真摯な心配りが感じられる。SF作品にも多く触れられており、奇想好きな人だけでなくSFファンにもオススメの本。2018/11/12