内容説明
経済恐慌、右翼の台頭、ナチスの登場―不安と危機、衰退の1930年代、「反ファシズム」を掲げる諸政党・労働組合・市民団体による連合政権の誕生に人々の期待は高まった。本書は、フランス人民戦線前夜から、スペイン内戦への対応や経済政策をめぐる対立による解体までの詳細を、連合の鍵を握った申道政党を中心に追っていく。さらに、現在のフランス社会を特徴づける「人民戦線の遺産」ともいうべき政治的・経済的・文化的成果を記述する。ソビエト解体後に公開された史料をもちいた新たな研究成果をもとにまとめた本格的、かつ総合的な人民戦線研究の成果。
目次
第1章 危機の子
第2章 統一戦線から人民戦線へ
第3章 三六年六月
第4章 権力の行使
第5章 人民戦線の解体
第6章 文化革命
著者等紹介
渡辺和行[ワタナベカズユキ]
1952年岐阜県生まれ。京都大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(法学)。奈良女子大学文学部教授。フランス近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nranjen
5
図書館本。非常に濃厚。政治の駆け引きが非常にややこしく飛ばし読みした(資料すごい)。人民戦線の誕生の経緯とその解体をみていく中で、戦間期フランスの姿が浮かび上がってくる。反戦運動が非常に盛んな中で再軍備が求められる矛盾、ソ連が糸を引く怪しい共産党(ドリオが脱退した理由がわかった)、黙々と影響を及ぼすクロワドフー、殺人示唆まで起こす恐ろしい極右(解体命令があった)とんでもない政治世界だ。有給制度は今でも残る人民戦線が導入した成果だと知る。この時代にレジャー、旅行、スポーツが振興されたのも見逃せない。2020/12/14