出版社内容情報
イギリス、ドイツ、中国などの事例に即して、私たちの日常生活をとりまく記念日、そして記念日にともなう記念行事の社会的意味や機能を探る
内容説明
近代イギリスの「国民的英雄」顕彰行事、ナチスドイツ最大の祝典、古代中国の死者にちなんだ祭日、中国共産党の創立記念日といった事例に即して、日付の選定から、物語やイメージの付与、そして記憶や資料の改竄にいたるまで、記念日をめぐるさまざまな抗争を明らかにし、コメモレイションや集合的記憶のあり方に一石を投じる。より深い探求のためのブックガイド付き。
目次
序論 記念日と記念行事をめぐる抗争
記憶を造形する命日―ベンジャミン・ディズレイリとプリムローズ
大地に軍隊を捧げた日―ナチスの収穫感謝祭
中国の祭日と死者を巡る物語り
思い出せない日付―中国共産党の記念日
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
更紗蝦
9
京都大学人文科学研究所の2004年度夏期公開講座「記念日の創造」を元にして編集された本です。テーマはベンジャミン・ディズレイリの命日(プリムローズ・デイ)、ナチスによる収穫感謝祭、古代中国の祭日と死者にまつわる物語、中国共産党の創立記念日の4つです。記念日というと「学校や仕事を休める日」程度の認識しかなかったので、記念日に「人々の思考と行動を拘束する力」があり、「記憶の侵蝕」や「資料の改竄」が起こるという指摘は新鮮な驚きでした。記念日の制定の経緯からファシズム・歴史修正主義・同調圧力をあぶり出しています。2016/07/26