感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
PETE
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1980年代フランスにおける歴史修正主義との戦いの諸論文の集成。既にこの時代から、チョムスキーの知的不誠実が告発されている。 また、既に1987年段階の文章で、1982年のサブラ・シャティーラの虐殺を元に、「イスラエル無垢は死に絶えてしまった」という断言がなされる。 ナクバの時点でそんなものは元からなかったが。2024/09/15
フクロウ
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ヴィダル=ナケはジェルネ率いるパリ学派の古代ギリシア史家。両親はゲシュタポに拉致されナチスに殺された。そのことを踏まえると極めて抑えられた筆致である。「月はロックフォールチーズで出来ているなどと断言する『研究者』がいると仮定して、一人の天体物理学者がその研究者と対話するような光景が想像できるだろうか」(同9頁)。ここは樋口陽一『憲法 近代知の復権へ』47頁でも引用される。政治的リベラリズムは価値中立ではないというヌスバウムの立場にも通じる。歴史修正主義の批判は必要だが歴史修正主義者と話してはいけない。2019/09/13