内容説明
治療者とクライエントのあいだに何が起こるのか?対象関係論からの相互交流理解“転移”と“逆転移”の臨床技法を説く待望の論文集。
目次
第1章 逆転移
第2章 中立性
第3章 治療過程での自己モニタリング
第4章 逆転移、再考
第5章 退行と転移
第6章 転移にからめとられること
第7章 すべてが転移/逆転移…ではないとしても
第8章 転移と逆転移が出会うとき―転移‐逆‐転移
第9章 共感と解釈
第10章 夢という舞台、そして転移
著者等紹介
松木邦裕[マツキクニヒロ]
1950年生まれ。熊本大学医学部卒業。国際精神分析協会認定精神分析家(個人開業)。福岡共立病院(精神科医)
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感想・レビュー
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麗子
3
東畑開人さんの著書(確か「日本のありふれた心理療法」?)の中で言及してされていて読んでみたくなった本。東畑さんは著書の中で、この本の中の事例報告に感銘を受けたと確か書いておられ、その事例の中の人物名?か何かも書かれていたと記憶していたのだが、、それは見当たらなかった^_^;わたしの記憶違いなのだろうか...。いずれにせよ、わたし自身が受けていたカウンセリングにおいて何が起きていたのかについて、自分なりに考えることができた、わたしにとっては読んで本当によかったと思える一冊であった。2022/11/14
言いたい放題
2
メルカリ。精神分析はエビデンスが弱いと言われたり、精神分析オワコンといわれる昨今。エビデンスの高い認知行動療法が主流だ。ただやはりこうした読み物を読むと私はやはり精神分析が好きだと強く思う。確かに因果関係を示す証拠がない、すべてただの偶然に過ぎないかもしれない。それでも私はやはり精神分析が好きだ。2023/09/03
ゴリラ爺
1
臨床素材を経過的に記述するとともにその解釈と後日の振り返りも載せながら論が進行するので非常に読みやすい。素材の中には論じている問題とのあいだにあまりにも綺麗に整合性が取れているせいで疑いたくなるものもあるが、どれも興味深く、治療者自身がクライエントの転移に絡めとられながら(逆転移)セッションが進行していく臨床空間のダイナミズムがよく伝わってくる。転移・逆転移について思考したい人は一度読んでおいて損はないと思う。2022/07/16