出版社内容情報
フロイト博士は本当に映画が嫌いだったのか?
同時期に産声をあげた二卵性双生児ともいえる精神分析と映画の屈折した運命とは?
ドッペルゲンガー、パラノイア、シェルショック…映画のなかに登場する精神分析的なモチーフやテーマに注目し、それらが分かち合ってきたパラレルな運命に照準をあわせその多彩な局面を考察する。
「1890年代後半、精神分析と映画はくしくもほぼ同じころに産声を上げる。そしてある意味で、この二つは同じ歴史を生き抜いてくる。なかでも、多くの精神分析医や精神科医のみならず映画人たちが、ナチスの台頭によってドイツやオーストリアなどからアメリカに渡ってきたというのは、その象徴的な出来事である。こういう言い方が許されるなら、不幸中の幸いでもあるこの運命のいたずらがないかぎり、ハリウッドにおける映画の黄金時代はありえなかっただろうし、精神医学におけるアメリカの台頭もなかっただろう。」「はじめに」より
◎目次
第1章 フロイト博士は映画がお嫌い?
第2章 夢のスクリーン
第3章 スティグマ
第4章 パラノイア
第5章 バッド・マザー
第6章 アサイラム
第7章 トラウマ
【目次】
はじめに
第1章 フロイト博士は映画がお嫌い?
ハリウッドのオファーを断るフロイト/ドイツの映画会社からの誘いも拒絶/チャップリンを精神分析するフロイト/女優イヴェット・ギルベールの大ファンだったフロイト/「不気味なもの」と『プラーグの大学生』/初期映画のなかのドッペルゲンガーたち/視覚の人としてのフロイト
第2章 夢のスクリーン
「夢のスクリーン」/サイレント映画のなかの夢のシークエンス/精神分析とクライムサスペンス/転移/逆転移とメロドラマ/アメリカに亡命・移住した映画監督と精神分析家たち/ドイツからハリウッドへ/フロイトの夢、サルトルのシナリオ/フロイトの夢、ヒューストンの映画
第3章 スティグマ
もしも患者が病院を脱走すると/Mの叫び/精神分析と犯罪学/「誰もが問題を抱えている」/精神鑑定をめぐって/スティグマを笑い飛ばす/狂っているのはどっちだ!?
第4章 パラノイア
追いつめられる新妻/観客は誰に自分を重ねるのか/妻の復讐/病んでいく夫/夫の正体やいかに/兄のコンプレックス/パロディのほうへ
第5章 バッド・マザー
「悪い母」/忘れられた名作『母の手』/母と娘/母と息子/母の責任/母親バッシング?/ヒッチコックのM/多義的ヒッチコック
第6章 アサイラム
Dr.ワンダフルとDr.イープル/催眠と暗示の力をめぐって/マッド・ドクター/「まるでここは監獄だ」/病院改革と脱施設化
第7章 トラウマ
シェルショックの映像/癒えることなき傷/ドキュメンタリーのなかのシェルショック/光あれ/戦後映画のなかのナルコシンセシス、あるいは「真実の血清」/帰還兵たちの逃れられない記憶/子どものトラウマ/強迫的な記憶のフラッシュバック、反復と断片
おわりに
内容説明
フロイト博士は本当に映画が嫌いだったのか?同時期に産声をあげた二卵性双生児ともいえる精神分析と映画の屈折した運命とは?ドッペルゲンガー、パラノイア、シェルショック…映画のなかに登場する精神分析的なモチーフやテーマに注目し、それらが分かち合ってきたパラレルな運命に照準をあわせその多彩な局面を考察する。
目次
第1章 フロイト博士は映画がお嫌い?
第2章 夢のスクリーン
第3章 スティグマ
第4章 パラノイア
第5章 バッド・マザー
第6章 アサイラム
第7章 トラウマ
著者等紹介
岡田温司[オカダアツシ]
1954年生まれ。京都大学大学院博士課程修了。京都大学名誉教授。専門は西洋美術史・思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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