享楽社会論―現代ラカン派の展開

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  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784409340516
  • NDC分類 146.1
  • Cコード C3011

出版社内容情報

精神分析が導く現代資本主義社会の突破口 精神分析が導く現代資本主義社会の突破口?



ジャック・ラカンが提出した「剰余享楽」「資本主義のディスクール」といった概念は、現代社会の現象の把握のためにきわめて有効だ。本書では力強く展開する現代ラカン派の理論を紹介するとともに、うつ、自閉症、ヘイトスピーチといった、臨床や政治社会における広範な事象に応用し分析を試みる。精神分析の言説に新たな息吹をもたらす、ラカン派の俊英による鮮やかな社会論。



「こうして、「不可能な享楽」は「エンジョイ」になり、〈父〉はデータの番人になった。現代の私たちは、後者による徹底的な制御のもとで、前者の「エンジョイ」としての享楽の過剰な強制――「享楽せよ! Jouis !」という超自我の命令――によって、そして、その結果として消費されるさまざまなガジェットがもたらす依存症的な享楽によって慰められながら、徐々に窒息させられつつあるのではないだろうか。だとすれば、そこから抜け出すことはいかにして可能なのだろうか?」(本書より)

まえがき
1 ラカン派にとって現代とはなにか?
2 本書の構成

第?部 理論

第一章 現代ラカン派の見取り図
――ジャック=アラン・ミレールの議論を中心に
1 近代精神医学から精神分析へ
2 象徴界の衰退と〈父〉の複数化
3 臨床形態の問いなおし――普通精神病と自閉症
4 セクシュアリティの変化――「露出」と「依存症」
5 症状からサントームへ
6 無意識から遠く離れて――無意識と話存在
7 脚立――昇華の新しいパラダイム
8 男性側の式から女性側の式へ

第二章 4(+1)つのディスクールについて
――マルクスから資本主義のディスクールへ
1 ディスクールとはなにか?
2 剰余価値と剰余享楽
3 剰余享楽の袋小路――「六八年五月」と対峙するラカン
4 四つのディスクール
5 資本主義のディスクール
6 現代の「うつ」と資本主義のディスクール

第三章 性別化の式について
――キルケゴールはいかにして男性側の式のリミットを越えたのか?
1 キルケゴールの愛は宮廷愛だったのか?
2 〈物〉とシニフィアン、そして不安
3 ふたたび『アンコール』へ
4 『愛のわざ』のラカン的読解
5 例外を空想するのではなく、例外になること

第?部 臨床

第四章 DSMは何を排除したのか?
――ラカン派精神分析と科学
1 「意図せざる結果」
2 DSMによる神経症の消滅
3 主体を排除するものとしての「科学」
4 現代精神医学の彼岸

第五章 現代の病としての「うつ」
――「現勢神経症」と資本主義のディスクール
1 デプレッションとメランコリーをめぐる精神医学史
2 フロイトにおけるデプレッションとメランコリー
3 神経衰弱/現勢神経症の復権
4 欲動の処理不全と「資本主義のディスクール」
5 デプレッションの神学??ラカンのデプレッション論
6 デプレッションの表象文化論?
7 現勢神経症の復権に向けて

第六章 「恥の死滅」としての現代
――羞恥の構造を読む
1 「恥」と眼差し
2 視線と羞恥の構造
3 対人恐怖
4 窃視症
5 露出症
6 眼差しのラカン的存在論――存在論は「恥在論」である
7 現代における「恥の死滅」

第七章 自閉症をめぐるフランス的問題
1 時代遅れの精神分析?
2 「壁」についての反応と「精神分析禁止法案」
3 ラカン派の自閉症研究

第?部 政治

第八章 レイシズム2・0?
――現代ラカン派の集団心理学1
1 ヘイトスピーチのめざめ
2 二つのレイシズム論
3 フロイトの症状
4 「集団心理学」を再考する
5 レイシズムにおける〈父〉と享楽の病理
6 精神分析はレイシズムに対して何ができるのか

第九章 享楽の政治
――現代ラカン派の集団心理学2
1 「享楽の政治」について
2 「法は法である」――象徴界のフラットな使用に潜む享楽
3 集団的同一化における享楽の動員
4 〈父の名〉の秩序から「鉄の秩序」へ

第一○章 ラカン的政治のために
1 否認の主体とシニシズム的空想
2 シニシズムを横断する
3 大文字の「否」から肯定性へ
4 ラカンと政治理論
5 大学のディスクールから分析家のディスクールへ

あとがき

参考文献

松本 卓也[マツモトタクヤ]
著・文・その他

内容説明

ジャック・ラカンが提出した「剰余享楽」「資本主義のディスクール」といった概念は、現代社会の現象の把握にきわめて有効だ。本書では力強く展開する現代ラカン派の理論を紹介するとともに、うつ、自閉症、ヘイトスピーチといった、臨床や政治社会における広範な事象に応用し分析を試みる。精神分析の言説に新たな息吹をもたらす、ラカン派の俊英による鮮やかな社会論。

目次

第1部 理論(現代ラカン派の見取り図―ジャック=アラン・ミレールの議論を中心に;4(+1)つのディスクールについて―マルクスから資本主義のディスクールへ
性別化の式について―キルケゴールはいかにして男性側の式のリミットを超えたのか?)
第2部 臨床(DSMは何を排除したのか?―ラカン派精神分析と科学;現代の病としての「うつ」―「現勢神経症」と資本主義のディスクール;「恥の死滅」としての現代―羞恥の構造を読む;自閉症をめぐるフランス的問題)
第3部 政治(レイシズム2.0?―現代ラカン派の集団心理学1;享楽の政治―現代ラカン派の集団心理学2;ラカン的政治のために)

著者等紹介

松本卓也[マツモトタクヤ]
1983年高知県生まれ。高知大学医学部卒業、自治医科大学大学院医学研究科修了。博士(医学)。専門は精神病理学。京都大学大学院人間・環境学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ころこ

41
以前、数ページで挫折した論文集がスラスラ読めた。難しいのは第Ⅰ部の理論だ。第1章はラカンが「解釈とは主体における無意味の核を取り出すことである」といって、ミレールが「逆向きの解釈」と名付けた、主体を自らの享楽に立ち返らせ、現実界における身体の出来事を取り扱う技法が論じられている。第2章は現実界に到達できるという幻影に惑わされ、強制された消費を繰り返すという、マルクス主義や他者の欲望ではない形で資本主義を定義付けている。第3章はキルケゴールが引かれ、ジェンダー平等的に問題のあるラカンの再解釈を行っている。2022/10/31

シッダ@涅槃

36
精神分析系の本は遠い昔に読んだ岸田秀『ものぐさ精神分析』以来ではなかろうか。精神分析系の本をときに読みたくなるのは「自分が書かれている!」という感覚になるから。もともと太宰などの私小説から読書に入っている人間としてその感覚は嫌いじゃない。僕にはやや難解ながら、現代(2011年以降)の問題も多く取り扱っており。刺激的だった。精神分析=研究室の学問というイメージが少しは取れた気がする。2018/05/13

またの名

15
相手の身体の特定パーツを凝視すると自分の欲望が知られてしまうので恥ずかしさを覚える恥の構造、原初的享楽を喪失し永遠の郷愁に囚われる人間構造などを説明しつつ、もはや人々が恥を忘れて喪失を喪失する時代に言及。社会は変わるがラカン派精神分析も時代に即してアップデートしてる状況を、複数テーマから示す論集。享楽せよと絶えず命令するシステムの名はもちろん資本主義で、日々増える精神疾患が社会構造全体と併せて理解対処されるべき点を繰り返す。享楽社会へ批判的ながらも享楽の政治に参加するなら、言動にも享楽がもっと必要なのか。2019/07/18

ひばりん

11
ラカン入門応用篇といった趣き。ラカン自体は一般性の高い理論構想だから、社会批評に応用しようと思うとラカニアンとしてのセンスが問われてくる。本書はさていかに。/資本主義のディスクールは、日本も資本主義に飲み込まれているので、実は分かりやすい。しかし四つのディスクールのほうは、濃いフランス的感性の精華であるから、松本氏といえども咀嚼に苦労しているのでは。デュルケム以来のアノミー論や、精神分析に限らないアナリゼの伝統を再訪すべし。資本主義と異なる世界への出口に見えるものは、フランスという苦界への入口かもしれぬ。2021/03/02

しゅん

8
「ラカン派」は多くの論者に影響を与え、ここ数十年で浅田彰や斎藤環やスラヴォイ・ジジェクが解説し、ジル・ドゥルーズや東浩紀やジュディス・バトラーが批判的に論じてきた。その流れに少なからず違和感を覚えていた(ラカン派理論って社会の説明に便利だけど自分の実感に則してない)のだけど、本書は後期のラカン自身、そしてラカンを受け継いだ現在の精神分析は所謂「ラカン派」とは別の理論を築いてきたことを紹介する。象徴界を司る〈父〉(キリスト教的な絶対者)は19世紀には既に衰退していたとラカンは修正を加えていたという話。2024/01/22

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