内容説明
心理療法の過程で働く治療者とクライエントの二者関係を超越した力。昨今のどこか胡散臭いスピリチュアル・ブームに対して、本書では「神話的時間」「宗教性」をキーワードに、心理臨床、臨床哲学、神話学、宗教学の観点から「超越性」の問題を、心理療法のなかでしっかりと位置づける。困難な時代状況を見つめ、EBM(実証的証拠に基づいた医療)に傾きつつある精神医療や心理臨床に警鐘を鳴らし一石を投ずる書。
目次
差異としての超越
開けとしての変性意識状態
狂気と癒し―ディオニュソス神話とネルヴァルのばあい
神話的時間と超越体験
心理療法と超越性の弁証法
こちら側とあちら側のとけあう場所へ―心理療法と大島弓子の超越性
魂と時間―無意識の無時間性をめぐって
境界性人格障害夕子の心理療法過程における超越性―超越性か諦念か
甲南大学人間科学研究所第8回公開シンポジウム 心理療法と超越性―神話的時間と宗教性をめぐって パネルディスカッション
著者等紹介
横山博[ヨコヤマヒロシ]
1945年生。京都大学医学部卒業。チューリッヒ・ユング研究所留学後、ユング派分析家の資格を取得。甲南大学文学部人間科学科教授。横山精神分析心理研究所主宰。専門は精神医学、分析心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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