感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gotoran
47
子どもの夢に関する夢象徴や拡充法を用いたユングの4つのセミナーの記録。本書は、原著第1章から第6章の内、第4章までの訳書。ユングの拡充法とは、一つのテーマから連想されることを物語(昔話や神話)との共通点から理解していく方法である。夢に出てきた人間、動物、状況、その物語の主題など類似のものが、神話・伝説・昔話などに認められる場合は、それらによってその意味を深く理解していくことになると云う。ユングが夢について縦横に語っている。非常に興味深かった。続いて原著第5章、第6章の訳書『こどもの夢Ⅱ』を読んでゆきたい。2021/04/18
roughfractus02
7
個人的無意識が社会関係に強固に結びつく手前の子供の夢には、大人の夢より集合的無意識と自我意識の交流を明確に辿ることができる、と著者は考えるようだ。『人間と象徴』にも10歳の娘から12の夢が書かれたノートをもらった分析医の挿話があり、それらの夢に現れる砂漠や水、天国と地獄は、宇宙そのものに触れるような不可思議さがあった。個や社会を超えて宇宙に達する本書の子どもの夢にも、著者は古来から物語化してきた神話や昔話と対比しつつ、象徴解釈を施して元型を見出し、時空を超えて繰り返されるパターンの描く心的構造を抽出する。2021/06/16