内容説明
混迷を極める事態の本質を探る、オリンピック研究の第一人者による刮目の分析。
目次
第1章 オリンピックの誕生と伝統の創造
第2章 日本におけるオリンピックの受容―オリンピックが幻に変わるまで
第3章 オリンピックと政治―ボイコットの時代
第4章 オリンピックとアマチュアリズム
第5章 オリンピックと商業主義
第6章 オリンピックは本当に黒字を生むのか―一九七六年モントリオール/一九九八年長野
第7章 オリンピックと象徴的権力―二〇〇八年北京オリンピック
第8章 オリンピックレガシーの登場
第9章 二〇二〇年東京オリンピックの行方
著者等紹介
石坂友司[イシザカユウジ]
1976年北海道生まれ。筑波大学大学院博士課程体育科学研究科単位取得退学。博士(体育科学)。奈良女子大学研究院生活環境科学系准教授。専門はスポーツ社会学、歴史社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
29
もう残り2年となった東京五輪。その前に読んでおくべき良書。現代五輪にまつわる様々な知見をまとめており、頭の整理になります。自己ベスト、多様性と調和、未来への継承。この3つが東京五輪の基本コンセプトだと何人が知っているのか?幻の1940年は関東大震災、64年は戦後、そして2020年は東日本大震災といずれも復興との関連性で語られて来た東京五輪。84年のLA五輪を機に商業化が進み、米テレビ局の要請に従うままの祭典となった現実。メディアを意識したルール変更や競技時間など改めるべき点ばかりで気が重くなります。2018/04/13
jiangkou
7
オリンピックの起源から語る概論。大学の講義のように平易で読みやすく、且つこれまで知らなかった世界に導いてくれる。近代五輪は古代五輪の復活ではなく、創始者や関わる人がその理念を作り上げていった、政治や経済理論から中立と思われがちだがアマ(貴族)スポーツを起点である以上中立でありえない、ロス五輪から商業化したと思われがちだがプロ参加を進め五輪の地位向上を進めた時点で運営費高騰は必須でその後五輪で儲かることはなかった等、認識を新たにしたところが多かった。世界一のスポーツイベントを俯瞰し東京五輪へ繋ぐ良著。2018/05/11
maqiso
1
近代オリンピックが創設されてから現在までの、思想の変化や政治的な意味や経済との関わりを書いている。ナショナリズムやコマーシャリズムとは本来無関係であるという伝統を創ることで、政治的商業的に重大なイベントになったのが面白い。東京大会でも使われている「レガシー」への評価はロス大会でされそう。全般に批判的な見方をしていて良い。2019/05/24
あさひ
1
オリンピックの政治利用や商業利用、結果強調されることになる「レガシー」の価値。ドーピングの問題。開催都市に重くのしかかる費用の問題。都市側の支出は分かるが、参加各国からの収益はどうなのか?オリンピックのコンディションを整えるためにアメリカなどは競技施設をつくるというが、それによる収入は?2019/04/03