内容説明
インセストすなわち近親相姦。人間関係をめぐる数々のタブーを克服してきた近代社会において、人類最後の禁忌とされながらその違犯の事例が絶えない特殊な性愛現象。厳重な禁止に背いておぞましい行為にひきこまれざるを得ない人間の「哀しさ」を描いた古今東西の多くの文学作品をひもときながら、母子癒着や父娘間の家庭内性暴力など現代的課題にも目を注いで、インセストを人間の精神と文化の問題として冷静かつ包括的に扱った極めて注目すべき労作。
目次
序章 インセストの禁止と侵犯
第1章 近親への欲動は特殊・例外的なのか
第2章 近親婚禁忌の起源について
第3章 インセストタブーと宗教
第4章 家族が愛人に変わるとき
第5章 母と息子、父と娘
第6章 きょうだいインセストとその周辺
終章 インセストはなぜ悪なのか
著者等紹介
原田武[ハラダタケシ]
1933年生まれ。現在、関西福祉科学大学教授、大阪外国語大学名誉教授。専攻はフランス文学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山口透析鉄
27
県の図書館本より。いわゆるインセストタブーについて、豊富な文学作品や映画、宗教的な見地なども含め、具体的な事例をもとに包括的な入門のような本になっています。 当然、家族間の虐待のケースも多いでしょうが、そうとはいえない事例も少なからず紹介されています。 インセスト、色んな芸術作品のモチーフにもなっているので、その辺の話題もかなり豊富でした。 タブー視されるようになった理由そのものについては今後も論議は出るでしょう。古書で良いので、繰り返し読むためにも購入しようかとも思う本ではありました。2024/10/03
桃山ソウ
2
図書館から借りてきて読了。様々な文学や神話から「インセストタブー」を説明している。「インセストタブー」に興味があったので、色々な本を借りてみたが、この著書は分かりやすく、とても興味深かったです。2016/01/29
わす
1
フィクションと事実をごっちゃに論じているのがモヤモヤする。2025/07/12
nappyon
1
近親姦について、その暴力性も踏まえた上で中立的に記述、考察していった本。このタブーに魅力のようなものを感じつつも傾倒はしていないバランス、見習わなければと思った。タブー関連の本を読んでいて出会いました。範囲は幅広い。文学における近親姦(野坂昭如『骨餓身峠死人葛』や三島由紀夫『音楽』)から、レヴィ=ストロースやフロイトらが論じたインセスト・タブーについて、現代日本で起こった近親姦の事例について…など。近親姦周辺の論点を拾うのにちょうどいいかな?深めていくのは、参考文献をみながら各々で、といった感じ。2013/01/25
李那
1
『強姦は下層階級の、姦通は中産階級の、近親相姦は貴族階級の性的罪悪である』2011/08/10
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