内容説明
移民から市民へ。差異にもとづく連帯へ…ポピュリズム、レイシズム政治の言説に惑わされないために。パリ同時テロ事件から2017年5月のマクロン大統領誕生へ。フランス社会は、移民をどう受け入れ社会に統合していくのか。国民戦線などのナショナルポピュリズムにどう抗していくのか。経済危機、失業、政治変動のなかで、フランスの統合問題が問われている。国民、市民、移民の問題を、19世紀にまでさかのぼり、さらに現在のヨーロッパの問題までを考察する。
目次
1(「イスラーム問題」の構築と移民社会―二〇一五年パリ危機からその後へ;同時的に起こっているヨーロッパの危機と変動;ナショナルポピュリズムとそれへの対抗力―フランス大統領選の社会学から)
2(オリジンを問わないということ―フランス的平等のディレンマ;フランスの移民政策の転換―“選別的”政策へ?;若者、移民第二世代の雇用と福祉)
3(フランス人とは何か―パトリック・ヴェイユを読む;デラシネとしての移民?―バレース、デュルケム再考、ノワリエルを通して)
著者等紹介
宮島喬[ミヤジマタカシ]
1940年東京生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。お茶の水女子大学教授、立教大学教授、法政大学教授等を経て、お茶の水女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Bevel
3
パリで生活するとすぐわかるのだろうけど、抽象的な人権意識の裏で、どう考えてもフランスの移民統合はうまくいっていない。ライシテはムスリムの子供を抑圧するし、シャルリエブドもマイノリティへの当てこすりにしか見えない。フランス社会で暗黙の了解になっているオリジンを問わないことも階層の再生産を助長している。そういう違和感に関わる移民問題の現状を一般向けに紹介するという感じ。解決を考える気は全くなくて、オチにデュルケームのアソシエーション論を持ってくるのは苦笑いしてしまうところもあるけど、まあそうねという感じ。2022/06/09
昼寝
0
★★★★2023/09/19