目次
第2部 世界=内=存在(老いの発見と受容―身体の経験;時間、活動、歴史;老いと日常生活;いくつかの老年の例;結論)
付録(百歳長寿者;R・E・バーガー『老人の世話をするのは誰か?』;社会主義諸国における退職労働者の状況;老齢者の性生活に関するいくつかの統計的資料)
著者等紹介
ボーヴォワール,シモーヌ・ド[ボーヴォワール,シモーヌド] [Beauvoir,Simone de]
1908年1月9日パリ生まれ。1926年家族の反対を押し切ってソルボンヌ大学哲学科に身を置いた。そこで“事実上の”夫となるサルトルと出会う。1943年に最初の小説『招かれた女』を発表、サルトルと並び実存主義作家の代表として機関紙『レ・タン・モデルヌ』で活躍した。その後1949年に代表作となる『第二の性』で一躍注目を浴び、現代フェミニズム運動の先駆けを担うとともに、1954年、『レ・マンダラン』でゴンクール賞を受賞し、フランス文壇の第一線で活躍を続けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
115
「第二の性」で、女性を、哲学・社会学・文学などの総合的な観点から見事に分析して見せたボーヴォワールが、「老い」に迫った大作。老いは「生物学的事実」であるだけでなく「文化的事実」なんだとして、具体的な人物名を挙げての分析が豊富。作家や科学者には辛辣で、ゴヤ、ベートーヴェンなどの芸術家の晩年には好意的。本書を通じて痛感するのは、徹底的なリアリズムに基づく実存主義の態度。更に、「老いと性」「認知症」「社会保障」など、正しく現代的な課題が、1970年の段階で、これほど見事に指摘されていることは驚くばかりである。2025/01/12
アキ
94
下巻では内面からの考察について述べている。主に作家の特にトルストイ、ゲーテ、チャーチル、ガンジーらの老年における振る舞いやエッセーなどが印象的。一般的に作家は老いるにつれ物語よりエッセーが多くなるが、音楽家や画家は老年に高みに到達するとある。また老年期の性、ことに男性の性について詳細な考察がある。老年とは長い過去と短い未来から習慣に拘り、長く生きるにつれ同世代は減り孤独に陥りやすいとある。「人生は何ごとかへの長い準備であり、その何ごとかは決してやってこない」イェイツの言葉が響く。読み応えのある本でした。2021/07/14
榊原 香織
68
上下巻の下 全然心休まらない内容だったw 下巻は政治家や文学者など有名人の老後。 付録のアメリカや社会主義国の状況、は資料が古すぎ(1960年代)。ソ連、だし。2022/03/02
ころこ
54
実存的な「老い」は、統計的、実証的な「老い」による限界を感じつつも、一回性の生がそのパブリックイメージに抗うことにより示されています。要するに「彼がこれまでの生涯を通じてつねに人間として扱われていたのでなければならない、ということだ。」「むしろ老後のことなどあまり考えずに、たとえあらゆる幻想が失われ、生命の熱気が冷めたのちにもなおそれを守りつづけるほど心を打ち込んだ、意義ある人生を生きるべきであろう。」2022/02/05
yumiha
51
下巻では、当人の内面から「老い」を考える。やはり身体的にも精神的にも耐えがたい現実が多かった。「老いは正常に異常な状態」つまり「正しい老化」を誰でも進まなければならないようだ。そのなかで上巻でも印象的だったユーゴ―は、「わたしの老年には一つの開花がある」(p272)と述べたのはさすがだ。でも、その元気な要因が「恥ずべき情事」にあったのでは…と考えると、妻の立場からすれば複雑だ。ボーヴォワールの「人生に意義を与えるような目的を追求し続ける」という結論も、そんな高尚なモンとは縁のない私には無理ですなぁ…。 2022/06/08