内容説明
時と場を自在にワープして樹々と人間の物語を紡ぐ。詩人ならではの眼差し。
目次
巨樹を伐る
いちじくのある庭
桂の清水
松の倖せ・不倖せ
玉樹たち
人の命 花の命
放蕩息子のいなごまめ
いちじく桑に登った男
葉が枯れて落ちる前に
木の実をひろう
竹よ この君
ときじくのかくの木の実
ゆりの木の花咲く頃〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sohara
1
昔『ハドリアヌス帝の回想』を読んで、その訳文の流麗さに魅了され、訳者名のみ記憶していた多田智満子。2003年に他界。もっと早くに調べれば良かった!現代詩は敬遠していたので、高名な詩人だったことも知らなかった!本書は樹木をめぐるエッセイだが、東西の古典に詳しい多田らしく、蝶(「魂の形象」)や菊(「少年愛のシンボルマーク」)の話など、勉強になる話題多し。特に、「ときじくのかくのこのみ」の話が良かった。「非時の香果」と書き、「橘」のことだが、おそらくは現在のミカンのことであろう、とのこと。2012/11/14