内容説明
通りすぎていった芥川家の人々に、かぎりない哀惜の思いをこめて囁きかける、鎮魂の譜。
目次
1 芥川家の人々(家庭での叔父龍之介;昭和2年・春そして夏;母ヒサ;大伯母フキ;大伯父芥川道章;道章の妻儔;塚本家の人々;多加志の戦死)
2 比呂志とともに(比呂志の活躍と病気;文学座から雲へ;欧米への旅;愛教とI教;役者の汗;神との出会い;ジャン・コクトー)
3 也寸志の憶い出(也寸志の発病;也寸志の死;北軽井沢のこと;追悼音楽会;影燈籠―幼時の憶い出)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うぼん
1
龍之介の姪で比呂志の妻瑠璃子氏の記憶する芥川家の人々の逸話が当時の生活文化や社会の出来事とともに語られる。中村真一郎が東横線でO・デ・ハヴィランド、J・フォンテイン姉妹と乗り合わせた挿話など芥川家と何の関係もないこういう遠い時空の断片情報が背景にさらっとあって時代の雰囲気が楽しく空想できた。比呂志と也寸志、其々の最期には泣けるし小穴隆一に家ダニと罵られた著者の異父兄Kのイニシャル殺に共感する。多加志さんが生きていれば北杜夫の楡家の人々のような小説を書き遺してくれたのかなあなどとバベルの図書館的妄想に耽る。2024/04/16
saba
0
芸術家の二世がやはり豊かな才に恵まれることは素養からも環境からもあり得ることだろうが、芥川家は突出しているな(方向は亡父とは異なるにせよ)。次男多加志氏は最も父の文学的志向を受け継いでいたようなので、もし戦死しなかったら…と思われてやまない。
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