内容説明
激動の一八世紀ヨーロッパ革命に揺れ、カサノヴァが活躍した時代。恋と芸術と祖国イタリアへの愛に生きた劇作家の波瀾万丈の生涯。
目次
第一期 幼年期―九年間の植物的生育期
第二期 少年期―八年間の教育ならざる教育
第三期 青年期―旅と放埒の十年余
第四期 壮年期―創作、翻訳、研鑽に励む三十余年
第四期の続き
著者等紹介
アルフィエーリ,ヴィットリオ[Alfieri,Vittorio]
1749年アスティに生まれ、1803年フィレンツェで没したイタリアの作家。トリノのアカデミーで学んだ後、ヨーロッパ中を巡る旅に出る。母国サルデーニャ王国の専制君主体制を嫌い、1778年に国を棄てトスカーナに移住する。作品における激しい個人的感情の吐露は、従来のイタリア文学には見られなかったものであり、ロマン主義の先駆者とされている。彼はその有為転変の生涯のうちに、数々の悲劇を書いている。『パッツィ家の陰謀』、『ポリュネイケース』、『ティモレオーン』などで、専制君主の圧政に立ち向かう自由な個人の姿を描いた。後年の『サウル』、『ミルラ』は、個人の心理描写がより際立っている点で、彼の悲劇の到達点を示す傑作とされている。またいっぽうで『君主と文学について』、『専制論』などの政治論考を残している。フランス革命の際には、『バスティーユ抜きのパリ』ではじめは革命を称えるが、後のパリ脱出時の危機的経験から一転して『フランス嫌い』では激しい憎悪の情を表している。詩作の方面ではペトラルカに範をとった『有韻詩集』を、ただし劇的なまったく新しいスタイルで著している
上西明子[ウエニシアキコ]
1958年東京都生。東京大学大学院人文社会系研究科南欧語南欧文学専攻博士課程修了。東京都立大学ほか講師。専門は18世紀イタリア文学
大崎さやの[オオサキサヤノ]
1970年埼玉県生。東京大学大学院人文社会系研究科南欧語南欧文学専攻修士課程修了。同博士課程在学中。専門はイタリア文学・イタリア演劇
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